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《大谷翔平も「一番の強み」と称賛》ドジャースのマイナー組織とは?「衝撃が大きすぎて」「練習初日にとんでもないところに来たなと」
posted2024/04/25 17:05
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Nanae Suzuki
【初出:発売中のNumber1094・1095号[経験者が明かす]「ビリオネアを生み出すマイナー組織の思考法」より】
ドジャースのマイナーは一体どんな場所?
ドジャースの選手は“コーチャブル”なんですよね。
聞き慣れない言葉を、山本由伸の獲得に尽力したドジャーススカウトの鈴木陽吾は口にした。大谷翔平がドジャース傘下マイナー組織の育成に関心を示したという話を耳にし、その風土について尋ねたところそんな言葉が出たのである。
ドジャースのマイナーとは一体、どんな場所なのだろうか。
「ともかく衝撃が大きすぎて。それまでの野球人生を全否定したくなるような、そんな体験でした」
明治大学でコーチを務める西嶋一記は現役時代、ドジャースマイナーに所属したことがあった。それこそ大谷が花巻東高からメジャー挑戦を表明する少し前のことだ。
左投手の西嶋は横浜高で3年春にセンバツ優勝。背番号「10」を身につけて活躍した。明大では1学年下の野村祐輔(広島)とともに強力な投手陣を形成。3年秋には最優秀防御率をマークした。
そんな実績もあり、大卒でNPB入りを目指していたが、斎藤佑樹(元日本ハム)ら豊作世代と騒がれた2010年のドラフト会議で指名漏れの憂き目にあった。
「練習初日に『とんでもないところに来たな』と」
ところが、事態は急転した。そんな西嶋にドジャースが声をかけてきたのだ。
驚きはしたが、当時の担当スカウトの小島圭市の話を聞き、迷いは消えた。
「メジャーリーガーはみんな球が速いですよね。僕はそういうタイプじゃないんですけど、小島さんからは『豪速球を投げる投手がたくさんいる中では、コントロールが良くて変化球を操れる投手が生きる』と教わりました。その頃はメジャーのピッチャーの高速化が進んでいたから、僕は自分を出せばいいんだと思えた」
とはいえ、いざ渡米してみると、その世界に驚愕した。
「練習初日に『とんでもないところに来たな』と思いました。マイナーには世界中から170人くらいの選手が来ていて、こんな奴らと競争しなきゃいけないのかと」
のちにメジャーのスター選手となるジョク・ピーダーソン(現ダイヤモンドバックス)やコーリー・シーガー(現レンジャーズ)がチームメイトだった。ヤクルトのクローザーとして活躍したスコット・マクガフ(現ダイヤモンドバックス)もいた。
“自由の国”のイメージを覆すほどの計画的な育成法にも目から鱗が落ちた。