濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“現役最長身”181センチの女子レスラーに変化?「勝ちたいという感情を…」デビュー1周年、スターダム・HANAKOの“ダイナミックな成長”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2024/04/22 17:01
デビュー1年目最後の試合となった京都・KBSホール大会にて、飯田沙耶にフロントハイキックを放つHANAKO
“すべての技がダイナミック”という魅力
試合は王者組の猛攻に耐えながらHANAKOが反撃し、それを月山がサポートするという展開になった。HANAKOが繰り出す技は、とにかく一つひとつがダイナミックだ。ボディスラムやブレーンバスターといった基本的な技でも迫力がある。
試合を見ながら感じたのは、攻防のテンポの速さだ。合体・連携攻撃を見せ、味方のピンチを救出し、4人が入り乱れて高速の闘いを展開する。もしかすると、もっと“間”を取ってじっくり試合を進めるのがトップファイターなのかもしれないが、これはこれで目を釘付けにさせられた。
結果はHANAKOが飯田にギブアップ負け。HANAKOにとっては“出し切った”と言える試合だったのではないか。この4人で、メインイベントというポジションで観客を満足させる闘いをした。そのことはスターダムの今後にも大きく影響してくる。月山は試合をこう振り返った。
「今スターダムにはゴッデス・オブ・スターダムとNB、2つのタッグ王座がありますよね。NBは頂点のベルトではないけれど、だからこそやる気もスタミナも感情も全部出しまくるような試合がしたくて。それは4人に共通していたと思います。
私はEXVが3つ目のユニット。後輩のHANAKOちゃんもいて“自分がしっかりしないと”という気持ちがどんどん強くなってます」
自力初勝利まで2年半かかるなど苦闘が続いていた月山。英語が堪能で同じユニットの来日選手をバックアップする役割も担ってきた。だが「今は自分からグイグイいきたいです」。今はスターダムだけでなく彼女にとっても勝負どころなのだ。
そんな月山と絶妙なチームワークを見せたHANAKO。月山は153cmだから、2人の身長差はじつに28cmにもなる。個性がまったく違うから噛み合うということもあるのだろう。
「正直、心細さはありました」
HANAKOはデビュー以来“無所属”状態だったが、今年に入りEXV結成に参加。初めてユニットの仲間ができた。EXVの2トップである舞華と白川未奈からのアドバイスにも大きな影響を受けた。ユニット所属としては初のタイトルマッチ。そこがこれまでとは大きく違ったという。
「闘っていて安心感というのか、“見てくれている”という感覚がありました」
昨年3月、同じ大会でデビューしたさくらあやが7月にケガで戦線離脱。地方遠征になると新人は自分だけで、なおかつユニット所属でもないから「正直、心細さはありました」と言う。