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「あんなに元気だった子が、なんで…って」練習中に同期選手が急逝…元女子プロレスラー・西脇充子が明かす「22歳で引退を決意した理由」 

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伊藤雅奈子

伊藤雅奈子Kanako Ito

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photograph byL)Takuya Sugiyama、R)東京スポーツ新聞社

posted2024/04/07 17:00

「あんなに元気だった子が、なんで…って」練習中に同期選手が急逝…元女子プロレスラー・西脇充子が明かす「22歳で引退を決意した理由」<Number Web> photograph by L)Takuya Sugiyama、R)東京スポーツ新聞社

全日本女子プロレスを22歳の若さで引退した西脇充子さん。現在は相撲部屋の女将に

西脇 いや、私は全女の寮で同じ部屋だったの。真紀ちゃんと神崎文枝、私と浅生恭子の4人だったかな。バク転がすごくできる子でね。体操をやってたから。ごはんを食べに出たときに、事務所の前で「バク転見せてー」なんて言ったら、何回でもやってくれるの。あんなに元気だった子が、なんで早く逝っちゃったんだろうっていうショックはありましたけど、でも同じチームだった北斗のほうがつらかったんじゃないかな。

――同期を失ったことで、プロレスを続けることが怖くなりませんでしたか。

西脇 それはなかった。最期の瞬間を見てないからだと思う。衝撃的ではあるんだけど、現実的ではなかったというか。なんか、テレビの向こうで起こった感じ。お葬式で、みんなで泣いてたのは覚えてる。

命日には同期でお墓参りも

――今でも命日になると同期で集まって、お墓参りをするそうですね。

西脇 そう、そう。北斗ぐらい有名になってくれるとさ、真紀ちゃんのお母さんのほうから連絡をくれて、お墓がある場所を教えてもらえて。「じゃあ、みんなで集まろうか」って、北斗が口火を切ってくれて、毎年5月18日の命日は60年組同期会として集まってる。北斗、堀田、神崎、私、影かほる。大阪、名古屋からも上京する子もいて、コロナ前は半分ぐらいになったんじゃないかな。

――絆の強さを感じますね。

西脇 でしょ。もうみんな50(歳)を過ぎてるのに、ぜんっぜん変わんなくて。「こんな風に今でも会えるのはうれしいね」なんて言ってる。北斗が集まれる場を作ってくれて、感謝だよね。今ではすっかり有名になっちゃって、違うとこにいる感じだけど、(内面は)ぜんぜん変わんない。あのまんま。

――北斗さんは、同期の誇りですか。

西脇 めちゃめちゃ誇り! あと、堀田(※)がまだ現役を続けてることも誇り。笑っちゃうよね、もう57(歳)だよ。

「クラッシュ・ギャルズになんか、なれるわけない」

――堀田選手とは88年に「ファイヤージェッツ」というタッグチームを組んで、2枚のシングルレコードをリリースしましたね。“ポスト・クラッシュ”として期待されて。

西脇 しんどかったー! クラッシュ・ギャルズになんか、なれるわけないじゃん。無理だよ、無理! がんばってましたよ。がんばってたけど、クラッシュがすごすぎたから、その後に誰が何やったってかないっこない。これ以上やったって無理だってわかったから、1年で自分たちで見切りをつけたんだよね。ビューティ・ペア、クラッシュ・ギャルズのあと、あそこまで日本中の女の子たちを魅了するスーパースターって、出てきてないじゃないですか。どこに行ってもキャーキャー言われる宝塚の女子プロレスラー版。あの一世風靡はすごかった。

――充子さんは、飛鳥さんの付き人でしたよね。

西脇 そうです。ともさん(飛鳥の愛称)は近くで見ていても格好よかったし、ちこさん(長与の愛称)も、私たちの世代はみんなああなりたいと思ってたけど、なれなかった。肌身で感じてて、それこそ、北斗とみなみ鈴香の海狼組(マリンウルフ)とファイヤーで必死だったけど、なれるわけないじゃんってわかっちゃった。

――付き人時代は大変でしたか。

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