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「行くな、やめんのやめろ」「たむ、ありがとうな」中野たむとジュリア“最後の一騎打ち”の結末は…スターダムに残る者と去る者のドラマ 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2024/03/30 17:01

「行くな、やめんのやめろ」「たむ、ありがとうな」中野たむとジュリア“最後の一騎打ち”の結末は…スターダムに残る者と去る者のドラマ<Number Web> photograph by Essei Hara

3月20日、名古屋国際会議場で行われた中野たむとジュリア“最後の一騎打ち”。中野の額はジュリアの頭突きで大きく腫れ上がっていた

 ジュリアが張り手を見舞った。中野はタックルでジュリアを押し倒し、マウントをとると「バカヤロー!」と叫んだ。引き離された2人。ジュリアは「たむ、ありがとうな」とマイクを投げ捨てた。

「たむはスターダムを世界一の団体にする。だから…」

 リングを降りた中野は収まらなかった。

「たむが引退するときは呼べだって? ふざけるな。オマエなんか結婚式にも葬式にも呼ばねえよ。アンタが他で私以外の女を作るとか、マジで絶対に許さない。一生呪ってやる。たむはスターダムを世界一の団体にする。だから、この世界のテッペンでまた会おう。またな」

 ジュリアは髪の毛に隠れていた傷跡を見せた。

「アイツと1対1で戦うのはこの4年で7回目か。そんなにやってるんだって感じだけど。リング上でも言った通り、もうオマエに会わないって思うと、なんて晴れやかな、なんてせいせいして、いい気分なんだろうと。でも、こんなになって、頭クラクラなって、そんなこともオマエとじゃないと、はらわた毎回煮えくり返って、何がなんだかわからなくなるような戦いはできねえんだろうな。ああ、せいせいするよ。オマエとまた必ず会うだろう、リング上で。その時はオマエが最後の時だ。そんなことを言うなんて……。オマエの呪いにかかっちまったのかもな。たむ、アリべデルチ、またな」

 スターダムは名古屋大会の後、3月を最後に5選手が正式に退団することを発表した。5人はジュリアのほか、林下詩美、MIRAI、桜井まい、そして1月に新人王になった19歳の弓月だ。

 ただ、ジュリアと林下は4月にも1試合だけスターダムのリングに上がる。4月12日、後楽園ホール。これが二人にとって本当にスターダムでの最後のリングになる。

“もう一組の去る者と残る者”林下詩美と舞華の物語

 もう一組のスターダムを去る者と残る者。名古屋大会で林下は舞華の赤いベルトに挑んだが、敗れた。だが、林下の顔も晴れ晴れとしていた。

「詩美、やっと、オマエが私のことをライバルだって言って認めてくれた。最初はすごく憎んでいたけど、勝手にね。すごくうれしい。やっぱり最高のライバルだよ。オマエを追いかけて、スターダムに来てよかったよ。ありがとう」(舞華)

【次ページ】 繰り返されてきた「プロレス団体、分裂の歴史」

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