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「いや、そうですね…」宇野昌磨が記者たちを爆笑させた“ある回答”…世界選手権4位でも心に残った“笑顔の意味”とは?「自分らしいな、と」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2024/03/27 17:02
世界選手権SPでの宇野昌磨の演技
「マリニンの当たり前に、僕のスケートはかなわなかった」
自分自身がマリニンとまた闘いたいという気持ちは、ないのだろうか。
「無理ですよ。僕はもう最善を尽くしました。僕は多分みんなよりジャンプの練習をしてきたと思うんです。今出ている選手の中で多分。本当にジャンプを数多く跳んできましたけれど、それでもやっぱり試合でうまくいかないところは、もちろん運というところもありますけれど。彼は僕と別な次元でスケートをしているというのは、間違いない事実。僕はもう必死で食らいつくという感じでしたけれど、彼にとっての当たり前に、僕の絞り出したスケートがかなわなかったというのが紛れもない事実です」
「でも優真くんもどんどん表現力だったり、もともとジャンプの完成度の高さを持っているので。本当にみんな良い子なんで、仲良く切磋琢磨しながら頑張ってほしいと思います」
「落ち着いたらちゃんとお話しします」
悟り切ったような表情で淡々とそう語った宇野。まるでもう次へと進む決意ができたかのような発言だった。だが今後のことを聞かれても、断言はしなかった。
「自分ともう一度向き合いたいなと思っています。この場で何かを断言することはできませんけれど。落ち着いたらちゃんとお話しします」
2度のオリンピックでメダルを手にし、世界選手権では2回のタイトルを含めて4回表彰台に上がっている。26歳の宇野が、もう存分にやりきったと思っていても不思議ではない。
彼が今後どのような決断をするのかはわからないが、シニア9年目のシーズンを終えた宇野の晴れやかな表情は、彼がアスリートとして日々を全力で生きてきたことの証のように見えた。