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「いや、そうですね…」宇野昌磨が記者たちを爆笑させた“ある回答”…世界選手権4位でも心に残った“笑顔の意味”とは?「自分らしいな、と」
posted2024/03/27 17:02
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
カナダのケベック州モントリオールで3月24日に終了した世界選手権。23日の夜に行われた男子のフリーは、シーズン最後を締めくくるのに相応しい、ドラマチックな戦いとなった。
米国のイリア・マリニンは4アクセルを含む4回転を6本成功させ、フリーの世界新を更新して初優勝を決めた。フランスのアダム・シャオ・イム・ファは予想外のSP19位という位置から、総合で3位に上がるという前代未聞の離れ業をやってのけた。
今季、本格的に怪我から復帰した鍵山優真は、2年ぶりの世界選手権だった。SPはノーミス、フリーは後半のアクセルで転倒があったもののジャンプ、表現とも質の高い素晴らしいプログラムを滑り切り、3度目の銀メダルを手にした。
多くの感動的な場面があった中で、なぜか一番心に残っているのは総合4位に終わった宇野昌磨が見せた清々しい笑顔だった。
やりきったような晴れやかな表情
SPはトップ3人がいずれも100ポイント超えというレベルの高い戦いの中、宇野は1位に立った。会場に来ていた元世界チャンピオンのパトリック・チャンは男子SP後に「ショーマはベテランらしい素晴らしい演技だった。あれほどの演技を彼が滑り切ったのを見たのは初めてかも。フリーもノーミスで滑ったら、恐らくこのまま彼が優勝するだろうと思います」と語った。
だが3連覇をかけて挑んだフリーでは、冒頭の4ループで転倒。会場のベルセンターを埋めていた観客が、残念そうにどよめいた。続いた4フリップでステップアウトした時点で、もう連覇は無理なことは本人もわかっただろう。それでもその後、4トウループと3アクセルをそれぞれ2本成功させ、最後まで丁寧に滑り切った。
決してベストな演技ではなかったが、宇野はやりきったというような晴れやかな表情を見せた。それは、この大会に来るまでに心から悔いのない練習を積んできたからだったのだという。