準決勝でKKコンビ擁するPL学園と激突

　甲子園でも金足農は、投打がかみ合った素晴らしい野球を展開した。1回戦は強豪の広島商に6－3。相手のお株を奪う6犠打（犠飛1を除く）を決めた。うち1個は4番・長谷川のスクイズ。工藤に続いて、二塁から一気に本塁を突いた水沢はアウトになったが、第100回記念大会で伝説となった逆転サヨナラ2ランスクイズの片鱗を、34年前にも見せていたというのも興味深い。

　2回戦は3個のスクイズを決め、別府商（大分）に5－3で快勝。3回戦は一転して苦戦を強いられたが、9回表に3点を奪って6－4で逆転勝ちした。

「秋田大会の決勝を思い出せ！」

　9回の攻撃前、監督の嶋崎が檄を飛ばした。その試合と同様に、8番・佐藤が安打で出塁し、相手のミスもあって土壇場で試合をひっくり返した。

「あの夏の2つの逆転は、今も忘れられない試合です」

　嶋崎は振り返る。

　準々決勝は新潟南に6－0で快勝し、準決勝で前年王者のPL学園（大阪）と対戦することになった。1年夏に大活躍した桑田真澄、清原和博の「KKコンビ」は2年生になり、春の選抜大会では岩倉に敗れたものの、今夏も絶対的な優勝候補だった。

甲子園を席巻したPL学園の清原和博と桑田真澄　©JIJI PRESS

「どうせなら対戦したかった相手。目標でもあった」と選手は口をそろえた。

　試合は1回、金足農が4番・長谷川の左前適時打で1点を先行。水沢―長谷川バッテリーは、落差の大きいカーブを効果的に使ってPL学園の強力打線を5回まで1安打に抑え込んだ。4回には先頭・清原の大飛球を、センターの斎藤一広がフェンス手前で好捕。その後、2死一、二塁とされたが、とっておきのサインプレーで一塁走者を牽制でアウトにしてピンチを脱した。

　5回は水沢の素早いバント処理や二塁手・佐藤のダイビングキャッチでPL学園の反撃の芽を摘んだ。

　6回に失策もあって追いつかれたが、直後の7回に7番・原田好二の適時打ですぐに2－1と突き放す。その裏は水沢がPL学園を三者凡退に抑えた。

　王者の攻撃は、あと2イニング。8回裏は先頭の清水哲が遊ゴロに倒れて1死になった。右打席に4番の清原を迎えた。

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