2023年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
「M-1予選で落ち続け…」“このままなら解散”とLINEした日…ヘンダーソンが明かす“吉本芸人のギャラ事情”「だから東京進出を決めた」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/03/24 11:09
昨年が結成15年、M-1ラストイヤーだったヘンダーソン。子安裕樹(写真左)と中村フー
中村 以前にもボケとツッコミを入れ替えてみようって提案したんですけど、そのときは相方が「もうええわ」って言われへんねやったら、俺は芸人を辞める、と。最後、「もうええわ」と締めくくるのはツッコミの役割なんでね。
子安 憧れていたんです。もうええわ、って言うのに。カッコつけたかったというか。
――いつも思うのですが劇場でウケるコンビが、必ずしもM-1に強いわけではなくて。逆も然りじゃないですか。そこへ行くとヘンダーソンはやはり劇場向きなんだろうなという気はしますよね。老若男女を問わず受け入れられやすいというか。
中村 M-1独特の審査基準がありますよね。同じシステムを続けたらダメみたいな。僕ら2022年もすごい自信あったんですけど、準々決勝で落ちて。今大会、審査員が一新したので、チャンスかなと思ったらまたダメで。
――今大会の決勝は後半がやや尻つぼみだったじゃないですか。そうしたら吉本の社員さんが、真っ先に「ヘンダーソンがいたら……」と言ってましたね。
中村 ありがたいです。ほんま、僕らの敗因はなんやったのか……。
吉本芸人の“ギャラ事情”
――最後になりますが、この春から、ついに東京進出を果たします。
中村 ほんまは大阪にいたいんです。でも一度、全国的な知名度を上げないと未来がないんかな、と。もう関西で出られる賞レースもないですし。賞レースで勝ったりすると、1ステあたりのギャラが上がるんです。賞レースで勝って僕らよりもらっている後輩もたくさんいますから。大阪におったら、単価を上げるチャンスもなかなかないんでね。
――東京の落語家なんかは寄席1回ぶんのギャラをもらっても昼飯を食べたら終わりです、みたいなことをよく聞きますけど。
中村 うちの会社やと、僕らは昼飯は食えます。1ステで1回飲むぐらいは行けると思いますよ。店にもよるけどな。
子安 わかりにくいな。夢があるけどないくらいのギャラです。
中村 もっとわかりにくいわ。
<前編、中編から続く>
(写真=山元茂樹)