2023年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
「M-1予選で落ち続け…」“このままなら解散”とLINEした日…ヘンダーソンが明かす“吉本芸人のギャラ事情”「だから東京進出を決めた」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/03/24 11:09
昨年が結成15年、M-1ラストイヤーだったヘンダーソン。子安裕樹(写真左)と中村フー
中村 あの年は最初、もう漫才をあきらめて、がっつりコントと向き合おうと話し合っていたんですよ。もともとは僕がボケで、相方がツッコミで、しゃべくりができないので、ちょっとポップな漫才コントみたいなのをやっていたんです。ただ、ウケるけど、言うたらインパクトがない。ヘンダーソン、どんなネタやったっけ?と。そんな漫才をずっとやっていた。だから、俺らM-1向いてないわみたいな感じで。周りからも言われてましたし。
――2016年、2017年とM-1で準々決勝まで進んでいるのに、そのあとの3年間はそれぞれ3回戦、3回戦、2回戦で負けています。2度も準々決勝まで行った経験のある10年以上のコンビが2回戦で負けるって、そうないですよね。
子安 辛かったわー、あのとき。
中村 ほんまにウケずに終わって。それもあって2021年はキングオブコントの決勝を目指そうとなったんですよ。コントの単独ライブもやり始めて。
――にもかかわらず、そのキングオブコントで、またしても2回戦で敗れ……。
中村 あんときやんな、LINEで相方に「今年、なんもなかったら解散しよう」って送ったの。僕がけっこう抱え込んでしまう性格なので、無理やってなったとき、何回か言うたことはあるんです。けど、LINEは初めてやったな。
子安 LINEは初めてでしたね。LINEで言わんといてくれよとは思いましたけど。
中村 とりあえず、キングオブコントがダメだったんで、またM-1に向けて漫才をせなあかんくなって、もう、全部変えよう、と。僕、楽屋とかでも普段からめっちゃイジられるんですよ。誰かがボケたら、それに乗っかって、自分で自分にツッコむみたいな。この感じをネタにしたらおもしろそうやなと思っていて。僕がボケとツッコミをやって、子安は子安みたいな。子安は真面目そうに見えて変なやつなんで、それはそのまま引き出して。そうしたら、それが最初からけっこう手応えがあったんです。周りの先輩とかも、おもろいな、と言ってくれて。
吉本の社員さんも「ヘンダーソンがいたら…」
――子安さんは抵抗はなかったのですか。
子安 もう、最後の一手だと思っていたので。相方がネタも考えてくれてるし、文句言ってる場合ちゃうやろ、と。