プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
スターダムを去るジュリアに中野たむが「呪いをかけてあげる」…“二人だけの世界”の結末はどうなる?「私以上のライバルとか絶対に許さない」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/03/19 17:00
スターダムをこの3月で退団するジュリア。最後の大一番は中野たむとの一騎打ち。アメリカのプロレスビジネスが変貌する中、注目を浴びて世界に飛び出す
「あんたがどこへ行こうが、私の知ったことじゃない。勝手にすればいいと思ってる。でもあんたは唯一無二のライバル。あんた以上に本気になって戦える相手はいない。私以上のライバルなんてこの先現れるはずもない。私以上のライバルを作るとか絶対に許さない。あんたは中野たむを一生引きずって生きろ。最後にあんたに呪いをかけてあげる。1対1で戦って」(中野)
「帰ってこねえかと思ったよ。そうだな、やんなきゃな。今、この瞬間、このスターダムに私と中野たむがいるってことは、やんなきゃいけないよね。いや、やりたいと思っていたよ」(ジュリア)
3月20日、ジュリアは名古屋大会で中野と戦うことになった。
ジュリアと中野たむ、激闘の歴史
ジュリアと中野はこれまで何度も大一番で戦ってきた。
コロナ禍の2021年3月3日、日本武道館。二人は白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)と髪の毛を懸けて戦った。強烈な張り手の応酬があった。
「こいつだけには負けたくない」
ジュリアの奥歯は欠けたという。両手をロックしてのスープレックスで勝利した中野はジュリアに「髪の毛なんか切らなくていい」と叫んだが、ジュリアは「ベルトも髪の毛も、人生まで懸けて戦っているんだ」と潔く頭を丸めた。
「何もかも合わないし、何もかも真逆。それなのに私たちには一つだけ共通点がある。身体の強さじゃなくて、心の強さで戦っているところかな。あいつも仲間は大切にするけれど、一人になっても生きていけるタイプ。私と同じ匂いを感じる。中野たむだったから、互いに感情をぶつけ合うことができた」
2022年10月1日、武蔵野の森総合スポーツプラザ。『5★STAR GP』優勝決定戦で、今度はジュリアが勝った。
「勝負は一瞬ですべてが変わる。夢に近づいたと思ったら、ずっと遠くなった。私はまたジュリアに負けた。白いベルトの時も、私がチャンピオンになってからも、いつもあいつと比べられて。髪切りの時もあいつが注目された。もう少しだった。いつになったらあいつに勝てるんだろう。ナンバーワンじゃないと意味がないんです」(中野)
「決勝で中野たむとまた会えて、すごく感慨深いですね。何度でもやりましょう」(ジュリア)
優勝したジュリアは同年12月29日、両国国技館で朱里を倒し、ついに赤いベルトの女王になった。
だが、ジュリアの前に姿を見せたのは、またしても中野だった。2023年4月23日、横浜アリーナ。ジュリアは中野に敗れて女王の座を追われた。