オリンピックへの道BACK NUMBER
物議の卓球「11-0禁止」は中国発祥? 世界卓球で中国人選手が語っていたこと…筆者が「暗黙ルールは消えてしかるべき」と考える理由
posted2024/02/25 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
2月16日から行われていた卓球の世界選手権団体戦の期間中、ある事象が話題となった。女子1次リーグの第3戦で日本は南アフリカを3-0で破ったが、その第1試合、木原美悠が第1ゲームを11-0で獲り、第2試合では平野美宇が第1ゲームを11-0で先取した。それに対して「マナーとしてどうか」という声が起こったという。相手に得点を与えなかったことの是非が話題となったのだ。
どういうことかと言うと、テニスや卓球では相手が無得点のゲームを「ラブゲーム」と呼ぶ。あえてミスするなどして故意に得点を与えてラブゲームを避ける「暗黙のルール」があるのにそれに反しているのではないか、という見方だ。
この暗黙のルールは、たしかに、まったく根拠のないものではない。「いつから」なのかを明確に語るのは難しいが、おそらく1ゲームが21点から11点に変更されたあと、中国から発生している。王者のふるまいが広がる例は珍しくないが、卓球界では圧倒的な強者である中国の選手のマナーが広がり、暗黙のルールとして捉えられるようになっていった。国際舞台で戦う日本の選手の中にも意識するようになった選手がいた。
卓球の「暗黙ルール」は世界基準?
卓球に限らず、ルールとして明文化されていなくてもマナーや文化などとしていわば暗黙のルールのようなものが存在するケースはさまざまな競技に見られる。