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物議の卓球「11-0禁止」は中国発祥? 世界卓球で中国人選手が語っていたこと…筆者が「暗黙ルールは消えてしかるべき」と考える理由 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2024/02/25 11:03

物議の卓球「11-0禁止」は中国発祥? 世界卓球で中国人選手が語っていたこと…筆者が「暗黙ルールは消えてしかるべき」と考える理由<Number Web> photograph by JIJI PRESS

世界卓球でプレーする平野美宇

わざと点を与える行為は、傲慢の裏返しでは

 陳夢の言葉も示しているように、マナー云々以前に、勝負を考えるなら隙をつくらないのは当然のことだ。オリンピックや世界選手権などで10-0から逆転したケースは記憶の範囲の中ではないが、東京五輪の混合ダブルスでは大逆転劇があった。金メダルを獲得した水谷隼と伊藤が準々決勝でドイツのペアと対戦した際、2-9と追い込まれたところから逆転して獲ったのである。

 10-0となっても、それで「大丈夫」と安心する選手はまずいないのではないか。国際舞台で戦う選手は皆、そうした緊張をもって取り組んでいる。ましてや先の伊藤と丁寧の例のように、いくら大差であっても中国の強豪選手を相手にあえて1点を与えればその先どうなるか、分かったものではない。

 やはり、全力を尽くしてプレーすることこそ、スポーツのマナーに即しているのではないか。むしろ、意図的に1点を与える行為は相手への礼儀でも敬意でもなく、そこから絶対に逆転されることはないという傲慢ともとれる自信の表れと捉えることができる。

 その点を考えても、思いがけず話題となった卓球の暗黙のルールは、消えてしかるべきものであったのだろう。

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