F1ピットストップBACK NUMBER
《2024年F1始動》角田裕毅「去年よりポジティブです」著名エンジニア獲得など新体制のビザ・キャッシュアップRBに高まる期待
posted2024/02/23 11:02
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images / Red Bull Content Pool
2024年シーズンに向けた合同テストが幕を開けた。
今年のF1は史上初めて、全ドライバーが2年連続で同じチームから出場することになった。しかし、F1に同じシーズンは一度としてない。それは今年も同様で、そのことは2月に発表された新車を見てもわかる。
車体製造に関する新レギュレーションが導入されて3年目を迎える今年は、どのチームも23年のレッドブルの長所を参考とし、大きく進化したマシンを登場させてきた。
その中で特に目を引いたのは、昨シーズン後半にレッドブルの脅威となるほど急速に競争力をつけていたマクラーレンだ。「打倒、レッドブル」を掲げて製作された新車MCL38の発表には、巧妙なトリックが隠されていた。公開された写真は、空力パーツの一部がコンピュータによって加工されていたのだ。
なぜ、マクラーレンはディテールを隠したのか。今年こそ、マクラーレンで悲願の初優勝を狙うランド・ノリスはこう語った。
「可能な限り長く知的財産を守りたいからさ。1週間後のテスト(2月21〜23日)で走らせれば公になるけど、それまで少しでも長く隠しておくことは、いまに始まったことじゃないよ」
F1の空力の開発は、常にライバルチームのデザインを参考にしている。だから、新しいアイディアを投入するときは、ライバルチームにコピーされないよう、できるだけ隠しておくというのがF1界の常識だ。
ニューウェイの新たなチャレンジ
追われる立場のレッドブルも新車RB20を発表したが、それは開幕3戦だけの限定仕様で、4戦目の日本GPからは大きく変身したアップグレード仕様が導入される見通しだという。しかもその仕様とは、メルセデスが昨年途中にあきらめた、空気抵抗の低減を狙う「ゼロポッド」コンセプトだという。
昨年22戦21勝してもなお、進化を止めないレッドブル。その開発を指揮するのは、空力の鬼才、エイドリアン・ニューウェイだが、過激とも思えるチャレンジは果たして成功するのか。もし、成功した場合、ライバルチームはどうするのか。
レッドブルを止めるのがどのチームなのかという興味とともに、今年は先鋭化した空力の開発競争の行方にも注目が集まっている。