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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「筒香は速い球が打てない」と言われ…メジャー挑戦5年目の筒香嘉智はどう感じてる? 渡米前に明かした本音「今年がダントツで感覚的にいい」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2024/02/20 17:00
サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んだ筒香嘉智(32歳)。米挑戦5年目の心境を語った
筒香 昨年所属したダブルA(2A)のリーグは、一昨年に所属したトリプルA(3A)より、ピッチャーのレベルが高いくらいで、先発のほとんどが96マイル以上、抑え投手になると98マイルから102マイルぐらいと投手の球速も速かったんですね。もちろんトリプルAに比べたら、まだコントロールが荒いなあっていう感じはありましたけど。でも、きっちりした自分の形というのが確立され出したら、100マイル前後のストレートもしっかり打てるなあっていう感覚が出ました。そこもすごく大きかったですね。
――それは結果的には自分の感覚として、自分のものになってきたなっていう手応えみたいなのを感じたわけですね。
筒香 アメリカに行ってから4年が経過していますけど、5年目の今年がダントツで感覚的にはいいなって思っています。
――2021年にはパイレーツでシーズン後半に結果を残しましたが、その時と比べるとどうでしょう?
筒香 あの時も良かったのは良かったんですけど、自分が自分じゃないというか……100%自分の感覚じゃなかったですね。だから打てているんですけど、すぐ分からなくなるなあっていう感覚はずっと持ちながらだったんです。1カ月半ぐらいだったので、何とかもったなあっていう感じでしたね。
――なるほど。そういう意味では今年はちょっとつかんでいる内容が違う。やっとそういう感覚を手にできたということですね。メジャー移籍5年目……長かったですね。
筒香 本当に時間かかるなぁって……自分でも……。
――ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を見ても、いまのメジャーリーグ、特に野手はパワー全盛ですが、筒香選手は日本時代からウエートトレーニグにはあまり積極的ではなかった。現在もその考えに変わりはないですか?
筒香 ウエートトレーニングっていうウエートトレーニングは、僕はやってないですね。バーベル担いで、ダンベルを持って、この腕に筋肉をつけてっていう動きはやっていない。このオフにやったことで言うと……走りました。
――下半身の強化のためですか?
筒香 実は2020年のシーズン開幕直後のホーム開幕戦で腰を痛めて、そこからもうバッティングもすべて崩れてしまった。何かずっと腰に違和感があってという状態が、去年も実はあったんですね。それが丁度、独立リーグが決まったタイミングで良くなって、先ほどお話ししたように、シーズン中のトップコンディションで色んなことに取り組むことができた。その取り組みの中で野球選手の動きとして、左右対称のものって、走ることしかないなという考えに辿り着いたんですね。
粘っこさが出てきた
――左右対称の動きとして……。
筒香 走って野球がうまくなることが目的ではなくて、走ることで左右対称のいいバランスをとり戻せるっていう感覚です。それをやっていたら『あれっ、出力も勝手に上がっているし、なんか身体のバランスもいいな』っていうことが起きてきた。さらにお尻周りにちょっとした刺激を入れたり、そういう全身トレーニングをやったんです。