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「ブサイク」「おばさん」というヤジも…高知の人気女性ジョッキーが経験した“容姿への誹謗中傷”「女性騎手はアイドル化している」
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph byKeiji Ishikawa
posted2024/02/12 06:00
多くの観客の目にさらされるジョッキー。なかでも相対的に数の少ない女性ジョッキーに対しては騎乗以外の部分が脚光を浴びるケースもある
ジョッキー夫妻はレースで「めっちゃ喧嘩になりました(笑)」
――その後、2011年に韓国遠征を実現させることができました。通算700勝を達成した18年には先輩である宮川実騎手と結婚。夫婦となった後に同じレースで乗る機会も多々ありましたが、そこで気を使うことは?
宮川 めっちゃ喧嘩になりました(笑)。真剣勝負なので、お互いに腹が立つんでしょうね。レースが終わった後になんとなく雰囲気が悪くなることはありました。
――自分が逃げたい時にご主人も先手を主張してくると「チッ、譲れよ」みたいな?
宮川 あります(笑)。でも、譲らないです。
――夫婦で譲り合いしているんじゃないかと思われたくないがために、むしろいつも以上に前のめりになることはありましたか?
宮川 それはないかな。相手が速ければ譲るし、レースの中で一般的に見られる駆け引きの範囲内でした。そういうのは全然意識しなかったです。
思うように乗れなくなってきたな…
――男女が同じフィールドで戦うスポーツは珍しく、結婚している二人が同じレースに出ることはあまりないことですよね。宮川調教師が勝って、ご主人が2着の時に「奥さんを勝たせたんじゃないか」と言われそうです。
宮川 それはありました。だけど、無視するしかないですよね。結果がどちらに転んでも言う人はいますし、先ほど話したように、人気騎手に勝ったことで電話など誹謗中傷が大量にあった時に比べると、マシでした。
――騎手生活は順風満帆なように見えていましたが、実はこの頃、悩んでいたとか?
宮川 30歳を過ぎたあたりから「思うように乗れなくなってきたな」と自分で感じるようになってきました。それでいろいろ不調も出始めて「たぶんもう長くは騎手を続けられないな」と直感的に感じはじめた時でもありました。
<つづく>