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プロ野球PRESSBACK NUMBER
甲子園に響いた衝撃音「あ、藤浪のストレートが…」“絶好調の谷内亮太”を襲った悲劇「ヤクルト、日本ハム…仲間に愛された男の11年間」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKYODO
posted2024/01/29 11:00
盛大な引退セレモニーでスポットライトを浴びる谷内亮太(2023年9月)
日本ハムが大谷翔平を強行指名した2012年ドラフトで、國學院大の主将・谷内はヤクルトに6位指名を受けた。
遊撃手としてプロの門をくぐった2013年、当時のヤクルトの内野陣はショートのレギュラーに川端慎吾が君臨し、さらに川島慶三や森岡良介が控え、2学年下の山田哲人もまだショートのポジションを争っていた。三塁はベテランの宮本と岩村明憲、二塁に田中浩康、一塁は畠山和洋と錚々たる顔ぶれだ。
「最初のキャンプで、これはやっていけない、無理だと思いました。練習が始まるとシートノック一つにしても全くミスがない。特に守備で衝撃を受けたのは宮本さんでした。すでに40歳を超えていましたが、無駄な動きが一つもなくて全てにおいて正確でした。一流の守備とはこういうことを言うのか、とため息が出ました。バッティングでは、バレンティンや畠山さんのパワーとスピードに度肝を抜かれて、この先ついていけるのかと毎日不安でした」
プロ4年目で訪れた千載一遇のチャンス
高すぎる、と感じたプロの壁に対し、谷内はひたすらコツコツと鍛錬を積むことで立ち向かっていく。プロ2年目の2014年はシーズン後半に入り一軍メンバー入りを勝ち取り43試合に出場するなど、少しずつ感触を掴んでいった。
プロ4年目の2016年、谷内にとって大きなターニングポイントが訪れる。この年、ショートのレギュラーだった大引啓次が開幕早々に腰痛で離脱したことで、谷内は千載一遇のチャンスを掴みかけていた。4月6日に一軍昇格すると、10日のDeNA戦で2シーズンぶりの一発となる3ランを放つなど大活躍。スタメンを勝ち取り打率5割と猛進していた矢先に、落とし穴があった。
「いいことが続きすぎて、逆に大丈夫かなっていう気持ちが少しだけありました。予感というか……」