不完全燃焼のW杯から1年。若き才能はラ・リーガで激しいチェックに晒されながらも、一際輝きを放つ。次は日本代表のナンバーワンに、2年後の絶対的存在に。再びのカタールは真価を見せる格好の舞台となるはずだ。
1年前の冬、カタールワールドカップが終わりサン・セバスティアンでの日常に戻った久保建英に聞いた言葉が印象に残っている。
ビスカヤ湾を望む田舎町のスタジオで、久保は心を決めたかのように話した。
「次のワールドカップがある4年後までに、僕は日本代表でナンバーワンの選手にならないと。チームがどういう戦い方をするにしろ、そうじゃないと最後までピッチに立つということはかなわない。これからの4年間は、そっちにフォーカスしていきたい」
それは久保がワールドカップのトロフィーを掲げるリオネル・メッシの姿をテレビ越しに見た数日後のことだった。
はじめてのワールドカップは不本意な形で終わっていた。カタールで過ごした日々は葛藤と戦った時間でもある。出場は2試合、わずか90分。試合に出るために本来得意とはいえない役割を受け入れ、左サイドを駆け回った。
何もできなかった、というドイツ戦の記憶がある。スペイン戦は手応えこそあったものの前半で交代となり、「今日の出来で代えられたら悔しい」とこぼした。しかし当時の日本代表にとって、おそらくはそれが世界で勝ちあがるための唯一の方法であり、グループステージ突破への最短距離だった。
それから1年が経ち、久保と日本代表はあのときとは異なる立ち位置にいる。
久保は名実ともにラ・リーガを代表する選手のひとりとなった。多くの日本人選手が欧州の舞台で躍動し、ワールドカップ後も勝ち続ける日本代表は世界でも一目置かれる存在だ。そしていま、彼らは再びカタールの地でアジアの頂点を目指す戦いに挑もうとしている。
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photograph by Shidu Murai