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「箱根駅伝を優勝しない方が幸せだった」郡司陽大26歳が苦しんだ「箱根駅伝の魔力」 自傷行為、引きこもり生活…救いとなったのは「加藤純一」だった
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byWataru Sato
posted2024/01/21 06:02
時折目に涙を浮かべながらつらい時期のことも赤裸々に明かしてくれた郡司。加藤純一などゲーム配信者に救われて今があると語る
「ひとりで家にいる時、他人から声をかけてもらえるのが一番うれしいんです。こんな状況になっても僕のことを覚えていてくれたり、声をかけてくれる人がいるっていうのは、本当に幸せだなって思いました。一人で家にいて、自分の世界に閉じこもっていてもいいこと何もないんで、今後もゲストランナーとして市民ランナーと一緒に走ったり、話す機会をもらえたら全国どこにでも行きたいなと思います。やっぱり走るのは気持ちがいいので」
2つの後悔
昨年10月、実業団をやめて2年が経過した。
まだ、うつ病は完治していないが、振り返ると「後悔」ばかりが頭を支配した。
「今、冷静になって考えると実業団をやめたけど、もっとやり方はあったのかもしれないと思いました。走れないのに給料23万円をもらうのは、給料泥棒じゃんって思っていたので、そういう自分が許せなかったんですけど、練習メニューとかもさらっと受け止めて走っていればニューイヤー駅伝とかで貢献できたのかもしれない」
もうひとつの後悔は、祖母の臨終に立ち会えなかったことだ。
「祖母が危篤だという連絡を受けた時、コロナのせいで会えないって両親に伝えたんです。本当は、普通に行けたんですけど、当時は親のことを敵だと思っていたので、会いたくなかったんです。嘘をついて、祖母の最期に立ち会えなかったのは、めちゃくちゃ後悔しています」
ずいぶん家族に助けられたなぁ
今は、自宅で両親と普通に会話ができるようになった。あの時は「顔がやばくて、本当に心配だった」と、そんな話が出来るようになった。病院にいって周囲を見まわして、明らかに元気がなさそうな人を見た時、自分もああだったんだと客観視できるようになった。