「タパレスが思いのほかディフェンシブに戦うなと思いました。もっとガンガンいくのかなと（予想していました）。そうしないとポイントも取れませんから。井上選手はいつも通り軽快でしたけど、これだと（倒すまでに）少し時間がかかるのかなと思いました」

　それでも井上は押したり、引いたり、パンチの角度を変えたりしながらタパレスを崩しにかかった。本人は試合後「当てづらかった」と明かしているが、長谷川さんもタパレスのディフェンスには注目した。

「タパレスが後ろ重心なんで、あれだと右が当てづらい。L字のブロックでボディも当てにくい。目がいいから、目でかわしたり、上体をのけぞらしたりして、うまいことパンチを外すことに長けている。タパレスのディフェンスは予想以上でした」

立ちはだかったタパレスのディフェンス　©Takuya Sugiyama

タパレスの変化「あれで試合が長引いた」

　井上はそんなタパレスを4回にロックオン、左フックを効かせ、連打で最初のダウンを奪った。井上は5回にフィニッシュを狙ったが、タパレスが2団体王者の意地を見せてこのラウンドをしのぎきる。4回のダウンが一つのターニングポイントになったと長谷川さんは見た。

「タパレスがダウンをして腹をくくったというか、吹っ切れたように見えました。あそこから覚悟を持って前に出ていきましたから。ダウンの前までは“打たれたくない”という戦い方。ダウンのあとは“打たれてもいこう”という戦い方。打たれてもいいと向かってくる選手は余計に倒しにくい。あれで試合が長引いたと思います」

どんな状況でも倒さなくちゃいけない。本当に大変

　一方の井上は覚悟を決めたタパレスに対し、ジワジワ、コツコツと攻めていったように見えた。

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