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井上尚弥は「求められているものが高すぎる」長谷川穂積が同情する“4階級王者の大変さ”「判定だったらグダグダ言われて」「でも倒すからすごい」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/12/29 17:02
4階級目のスーパーバンタム級でも4団体統一を成し遂げた井上尚弥。バンタム、スーパーバンタム、フェザーの元3階級世界王者・長谷川穂積はタパレス戦をどう見たか
指名挑戦者のネリ&アフマダリエフは…
将来のフェザー級はもちろんあり得るが、その前にスーパーバンタム級で実力者を倒すことが現時点で井上に課せられたミッションだ。名前が挙がるWBC指名挑戦者のルイス・ネリ(メキシコ)、WBA指名挑戦者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)のことも聞いておこう。
「ネリは山中(慎介=元WBCバンタム級王者)くんの試合で卑怯なことをしたでしょう(計量に失格して試合でTKO勝ち)。そのネリが井上選手と試合をして大金を稼ぐというのはちょっと納得できない。そういう感情もあるんですけど、ネリはボクシング的にも僕はあまり評価してないんですよ。ムロジョンのほうがいいとは思いますけど……やはり井上選手が相手では厳しいでしょうね。強すぎますから」
やっぱりフェザー級が面白い
7年前、世界王者のベルトを返上し35歳で引退した長谷川さんは「ファン目線の勝手な意見」と前置きして続けた。
「やっぱりフェザー級が面白いかなと思うんです。IBF王者のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)なんかいい選手だし、WBC王者のレイ・バルガス(メキシコ)もあれだけ手が長くて面白い。あとね、年齢を重ねるじゃないですか。30歳の井上選手はいま一番いい時期だと思うんですけど、いい時期がいつまで続くのかは分からない。だからいい時期にフェザー(級)で見たいという気持ちもあるんです。いや、これは本当にファン目線です(笑)」
井上の話はつい先走りがちだ。次戦は来年5月ごろを予定している。長谷川さんは「毎試合強くなっている。今回もいい経験を積んで、さらに強くなると思う」と、今から井上の次戦を楽しみにしている。