1月1日に応援団が自ら収穫

キャンパスの畑。土作りからはじまる今年の東農大の応援。他校とは土台も培ってきたものも異なる　©Nanae Suzuki

　加藤団長の最後の舞台にもなる箱根駅伝。新春の激戦を彩る特別な大根は、この予選会より前の10月初旬、本戦出場を信じて種を蒔いたものだ。品種は甘味が強く瑞々しい食感が特徴の味自慢大根「冬しぐれ」。厚木キャンパスの畑を訪れた12月半ば、すでに大きく育っていた大根は、1月1日に応援団が自ら収穫し、綺麗に洗って箱詰めしたあと、世田谷キャンパスを経由して大手町のスタート地点へと運ばれる。

「自然が相手ですから育てている時点では1月2日に間に合う保証はなかったし、最悪使えない可能性もある。すごく難しかったですけど、自分たちで作ったものはやっぱり気持ちの入り方が全然違います」

1万人超の学生・教職員が全て「応援団員」

大根と　©Nanae Suzuki

　今まで購入していた「LLサイズ」の大根ですら1.5kg近い重さがあったが、自分たちで栽培した大根は手塩にかけた甲斐あって丸々と太り、葉っぱを含めると2kgを優に超えそうだという。土作りから約1年かけて大根と向き合ってきた汗と涙の結晶と言えるが……。

「市販のもので言うと4Lサイズくらいあるかもしれません。でも、それがちょっと困っちゃうんです（笑）」

　いつもより重い大根に加藤団長が少しだけ苦笑いを浮かべた理由は、応援団の練習に見た驚きの光景の中に浮かび上がってきた。

練習の一場面　©Nanae Suzuki

　東京農業大学全学応援団。その活動は単なる「部活」ではない。名前に「全学」と入っているそのわけは、東農大の全ての学生と教職員が所属しているから。入学時に全学生が学費と同時に「入団費」も支払っており、オリエンテーションでは学歌や応援歌の指導を受ける。もちろん「大根踊り」のレクチャーも……。つまり、厳密には3つのキャンパスを跨いだ1万人超の学生・教職員が全て「応援団員」、ということになる。

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