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カープの“ポスト西川龍馬”は誰か? 獲りにいくと名乗りを上げた、21年ドラ4田村俊介の才能と課題とは
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2023/12/04 11:00
2021年のドラフトで4位指名を受け、愛工大名電高から広島に入団した田村。プロ入り前は二刀流を目指していた
だが、野間峻祥が右太もも裏の張りで戦列を離れたときは田村も負傷しており、他の選手にチャンスを与える形となった。7月12日に西川の負傷によってつかんだ再昇格も、2打席無安打ですぐに二軍へと逆戻りとなった。
それでも9月12日に3度目の一軍昇格を果たすと、合流即スタメン出場となったヤクルト戦で先発サイスニードからセンター前ヒットを放ち、プロ初安打をマーク。2試合連続スタメン出場となった翌13日ヤクルト戦も快音を響かせ、代打となった14日はヤクルトのWBC日本代表左腕の高橋圭二から右中間二塁打を放った。
上位争いするシーズン終盤、主力の離脱が相次いだ中で台頭した新星の光はひときわまぶしく輝いた。
しかし再び、アクシデントが田村の行方を阻んだ。プロ初安打から出場6試合連続安打を記録した17日の中日戦で左手に投球を受けて途中交代(判定はスイング)。後日「左小指中手骨骨折」と診断され、チームが5年ぶりに出場したクライマックスシリーズにも出場できず、出場10試合でシーズンを終えた。
春季キャンプでアピールした1年目のシーズンも、負傷による欠場が目立った。田村にとってケガ対策が飛躍への大きな鍵となる。そういった意味でも、来春の一軍キャンプ参加の最低条件として、秋季キャンプに間に合ったことは大きな意味があった。
3年目のシーズンに向けての決意
「ひと枠空いたので、そこを狙うというか、獲らないといけないと思います。他の人の結果は気にせず、自分の実力をもっともっと上げていきたい」
田村ははっきりと、西川が抜けたポジションを「獲る」と口にした。
秋季キャンプでは負傷明けのブランクを埋めるだけでなく、打球に回転をかけて飛ばす技術も磨いてきた。春季キャンプ止まりだった1年目から、2年目は一軍でプロ初安打を放った。そして西川の移籍によってチャンスが広がる3年目に臨む。
「来年はもっとやっていけそうな気持ちになった。来年僕自身が楽しみというか、もっとやれそうな気がするんで。もっともっといろんなところをいろんな人に見せたい」
田村は外野手登録としては最年少の選手だ。だが、プロの世界で年齢は関係ない。一軍で自信を得て、一気に「ポスト西川」まで登りつめようとしている。