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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
トライアウト会場外でスーツ営業マンが熱視線、YouTube撮影も…“元最多勝→今は六花亭”多和田真三郎らの「感謝とホンネ」が沁みる
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byYuki Suenaga
posted2023/11/16 17:41
グラウンドでプレーする選手たちを見つめる各球団関係者。ただ球場外には、彼ら以外も熱視線を送る人々は多かった
オリックス釣寿生を捕邪飛、DeNA田中俊太を投ゴロ、中日・伊藤康祐を二ゴロ。3人を抑えたが、「緊張感もなく、自分の中ではシーズン同様のメンタルでプレーできた」と語り「自分の中ではとても良い機会だった。一生の財産になると思う」と晴れやかに語った。
DeNAの一線級中継ぎの本音と、台湾の星
23番目のDeNA田中健二朗は、昨年は47試合に投げて13ホールド、一線級の中継ぎ投手だった。今年も11試合に投げていたのだが……。オリックスの園部佳太を右飛に打ちとったものの、ロッテの西川僚祐に左に「打った瞬間」という本塁打を打たれ、ソフトバンクの早真之介は遊ゴロに抑えた。
「(本塁打は)なかなかストライクが取れない中で、まっすぐに絞られて打たれた感じです。打者3人っていうところでしっかり自分のパフォーマンスをしなきゃいけない。ちょっと悔しいですね」と本音を語った。しかし温かい声援には背中を押してもらったと言う。
26番目の西武・張奕は、台湾の星だった。筆者は台湾代表として前回のプレミア12で快投を演じたのが印象に残っている。陽岱鋼の従弟でもある。FA移籍した森友哉の人的補償として、今季オリックスから移籍。DeNAの田中俊太に四球、中日・伊藤康祐にも四球を与えるが、オリックス釣寿生は空振り三振に切って取った。
「実戦から離れてもう半年ぐらい経ちますが、また投げることを目標にして、準備してきたので。結果はよくないですけど、自分なりにやってきたことをしっかり出せたかなと思うんです。いろんな人からこのままで終わるな、と言われて頑張りました」と語る。
台湾プロ野球(CPBL)のスカウトも見に来ていた。
“最多勝→今は六花亭”多和田は「NPBに強い思い」
28番目に元西武・多和田真三郎が上がったのは、少し驚きだった。
多和田は2018年に16勝を挙げて最多勝投手となったものの、2021年に戦力外となった。この年、メットライフドーム(現ベルーナドーム)で行われたトライアウトでも投げた。その時は富士大の先輩で、同郷(沖縄)でもある山川穂高が応援に来ていたのが印象的だったが、オファーはなく、今は軟式野球の六花亭でプレーしている。そのユニフォームでの登板だった。
元オリックス(現独立リーグ福島)の佐藤優悟を中飛、ソフトバンクの居谷匠真を見逃し三振、ロッテの福田秀平には四球を与えた。