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朝倉未来「大晦日は必ず出るという考え方は古い」衝撃の敗戦から4カ月、キックルールのYA-MAN戦を決めた本当の理由《単独インタビュー》
posted2023/11/18 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
MMAファイター・朝倉未来の次なる選択は「オープンフィンガーグローブのキックボクシング」だった。
現在の日本格闘技界で最も高い知名度があると言っていい未来。選手だけでなくYouTuberとして、“1分間格闘技”BreakingDownのプロデューサーとしても多忙な日々を送っている。その他にもさまざまな事業を手がけ、収入は億単位。それだけに、行動や発言はとてつもない注目を浴びる。
7月にはRIZINのフェザー級王座決定戦でヴガール・ケラモフと対戦し、1ラウンドでタップアウト。衝撃的な敗戦で、またしても世間、ネットを騒がせることになった。
ファイター・朝倉未来はどんな“NEXT”を選択するのか。RIZINのCEOである榊原信行は「自信がないんじゃないか。心が折れたんじゃないか」と論評していた。格闘家は肉体だけでなくメンタルのコンディションも重要で、回復を待つしかない時もあると。
一つのポイントは、恒例のRIZIN大晦日大会に出場するかどうかだと思われた。だが未来のリング復帰は想像以上に早く、そして意外な場所だった。11月19日に開催される『FIGHT CLUB』。ABEMAのPPVイベントだ。
記者会見での未来はキレキレだった
この大会はRISE、RIZINで活躍するYA-MANがプロデュースするもの。YA-MANは、キックボクシングイベントRISEでの(通常のボクシンググローブではなく)オープンフィンガーグローブ着用ルールの試合で成り上がり、同ルールの初代チャンピオンになった。『FIGHT CLUB』もオープンフィンガーグローブ着用のキックボクシング大会となる。
朝倉未来は、この大会のメインでYA-MANと対戦する。カード発表記者会見での未来の印象は、一言でいえば“キレキレ”。自信がないどころか絶好調に見えた。
対戦の発端は、一緒に練習していた時期もあるYA-MANからの“決別宣言”だった。ケラモフに対してのリベンジに向けた練習をしない未来に失望したというのだ。YA-MANはSNSに「朝倉未来が負けたまま、そのまま終わるようなダサい男だとは思ってなかった。そんな人から教わる事はもうない」と書き込んだ。
会見でもその思いをぶつけたYA-MANは「俺がボコボコにして昔の朝倉未来を呼び戻す」。すると未来は「無理してるなって感じですね。自分の大会を盛り上げたいからケンカ売ったって素直に言えばいいんじゃない? 試合が終わって2年も3年も練習しなかったわけじゃない。2カ月だけだよ」と返した。