ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
中邑真輔から「おまえ、いつ来るの?」 総合格闘技からプロレスラーに、佐々木憂流迦の原点「ムタvsシンスケ・ナカムラを観て…」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGantz Horie
posted2023/11/12 11:00
11月13日に「MONDAY MAGIC ep3」にてプロレスデビューを迎える佐々木憂流迦
中邑真輔から「おまえ、いつ(プロレス界に)来るの?」
プロMMAファイターになってからは、「プロレスラーになる」というのは心の奥底に封印した子どもの頃の夢だったが、その封印を解かせるような出来事が今年に入って立て続けに起こったという。
「急に小学校の同級生から『みんなで集まって、子どもの頃に埋めたタイムカプセルを開けるんだけど』っていう連絡が来たんで行ってきたんですけど。そのタイムカプセルを開けたら、小学生時代の自分から大人になった僕への手紙が入っていて、『プロレスラーになれてますか? プロレス道に励んでますか? 武藤さんが引退していたら悲しいです』って書いてあったんです。そのタイムカプセルを開けたのは、ムタvs中邑真輔を観て『プロレスラーになろう』と心に決めた1カ月後で、武藤さんの引退試合の直前。もう予言の書かと思いましたよ(笑)」
憂流迦はムタvs中邑真輔に感動した元日の日本武道館大会でも導きのようなものを感じた。
「中邑真輔さんは、ぼくが所属していた和術慧舟會の先輩にあたることもあり以前から面識があって、UFC参戦時、ニューヨークに3年間住んでいた時も一緒に食事をさせてもらったりしていたんですよ。それで日本武道館の試合終了後、たまたま真輔さんとお会いすることができて、『真輔さん、おひさしぶりです。試合すごかったです!』って挨拶させていただいたら、第一声が『おまえ、いつ(プロレス界に)来るの?』だったんですよ。『あれ?』と思って(笑)。
ついさっき試合を観て食らわされちゃった人からそんなこと言われたら、『そうっすね、今年……』とか言っちゃって(笑)。そう言った1カ月後にタイムカプセルだったんです。すごい流れでしたよ。もう運命は決められてるのかなと思って。僕はプロレスのリングから呼ばれたような気がしましたね」
「当面はプロレスに専念」
こうしてプロレスのリングに上がることに決めた憂流迦。やるなら総合格闘技の合間にやるのではなく、プロレスに専念する覚悟を決め、レスラーとしての体づくりから取り組んでいる。
「総合も将来的に縁があればやることもあると思いますけど、日本人が世界に通用するのはフェザー級(145パウンド=約65.8kg以下)までという現実がある。ぼくはプロレスラーとして、いまウェートアップに励んでいるので、当面はプロレスに専念してイチから体づくりしています。いま90kg超えたところなんですけど、なんとか100kgまでもっていきたいですね」
現在、デビューに向けて埼玉県のプロレスリング・ノア道場で必死にトレーニングを続けている憂流迦。プロレスの練習をすることで、さらにプロレスとプロレスラーに対する畏敬の念が増したという。