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藤井聡太は八冠になるまで何を食べてきたのか タイトル戦全85局から見えた「コーヒーはアイスのみ」「うなぎを食べない」傾向
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/11/11 06:00
10月に将棋のタイトル八冠を手に入れた藤井聡太。八冠となるまでタイトル戦で何を食べ、飲んできたのか
ベトナムに限らず、当地の名物を事前に研究し「食事を楽しみにしたい」と対局開催地で予告、食事やおやつで実際に頼むという一連の流れは八冠ロード中に定跡となった。その影響力は計りしれず、オーダーされた商品の問い合わせが倍増しヒットが確実視されたり、定食屋では行列が途切れなくなったり……など「おやつ」「ごはん」と一口には言い切れない経済効果をもたらしている。
八冠達成の直前、“最後の晩餐”は?
最後に八冠達成直前の食事を見ていこう。王座戦は昼食と夕食があり、第4局の昼食に供されたのは「寿司七貫」。藤井七冠を意識したメニューかと話題になったが、形勢が悪くなると一部からは「いただけるのは七冠のみで、八冠目を手にすることはできないのか」と“足踏み”を危惧する声も囁かれた。
最終盤に向かう夕食のテーブルに置かれたのは好物の海老天丼だった。これまで昼食123回のうち13回で天ぷらを含む料理をオーダー。2022年棋聖戦では味噌煮込みうどんに海老天を追加するなどこだわりを感じる一品だ。そして毎回初手の前に口にしてきた温かい緑茶もセットで注文、いつものメニューと終盤の大逆転で八冠を手中に収めてみせた。
これまで、八冠になるまでの食事の傾向を見てきたが、この指し回しから栄養面ではどのようなことが言えるのか。それを探るべく、ある人物のもとへと向かった――。
<続く>