プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「もっとええバントしてくれた方が…」阪神・岡田彰布監督が悔やんだ伊藤将司の“ワンプレー”「紙一重やと思うよ。はっきり言うて」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2023/11/01 16:10
本拠地・甲子園に戻るも、1勝2敗となった岡田阪神。4戦目以降の巻き返しはあるのか…
完全に握りきれていないままに、それでも「併殺がとれる」と二塁に投げたボールが低く、二塁ベース手前で鋭角的にショートバウンドした。ベースカバーに入った木浪聖也内野手が捕球できずに、ボールは中堅に抜けていった。
「結局は紙一重よ。もっとええバントしてくれた方が(二塁に送球をしないで確実に)一塁でアウトになったかもわからへん。それはゲームの中でわからへんことやからな、結局は」
岡田監督が悔やんだようにもしあそこで1つ、確実にアウトをとっていれば……1番の中川圭太外野手を二飛に打ち取ったところで3アウトでチェンジとなっていたはずだ。しかし2死一、二塁から伊藤は宗佑磨内野手に右中間を破られ、一挙に2点を追加されてしまった。
耳に残る言葉がある。
「紙一重やと思うよ。守り勝ちやな、はっきり言うて」
クライマックスシリーズのファイナルステージで広島に3連勝した時に岡田監督が吐いた言葉である。
この3連戦ではいずれも投手陣を軸にバックもしっかり守り切ったのが阪神だった。そうして守りのミスを連発した広島をスイープして、この日本シリーズの舞台へと駒を進めてきたのである。
短期決戦ではミスから綻びが生まれる。そのことを一番知っているのは、岡田監督だったはずだが、CSの裏返しがこの大事な場面で出てしまった訳である。
第2戦もミスから綻びが生まれた。
先制点を許すきっかけとなったのは、3回2死一塁から先発の西勇輝投手が一塁への牽制を悪送球したことだった。そしてこの試合も廣岡の遊ゴロで併殺を取れず、伊藤がバント処理をミスして、一気に試合の流れをオリックスに渡してしまった。
捕手・若月の二盗阻止に、三塁・宗のスーパーキャッチも
逆にオリックスは再三の好守が、チームのリズムを作り出していったことも見逃せないポイントだった。