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前田悠伍を生で見た衝撃「ナンバー1だと思う」U18のMVP・緒方漣が本音で語る東恩納蒼・武田陸玖“ドラフト候補の実力”…本人はなぜ大学へ?
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2023/10/13 11:04
前田悠伍、東恩納蒼、武田陸玖……高校生ドラフト候補に挙げられる選手たちを、U18の同僚・緒方漣はどう見るか?
緒方 自分は高卒でプロに行きたいとずっと思っていたんですけど、監督さん(村田浩明)からは実力的に厳しいと言われていて。課題が明白だったんです。打力と、足(の速さ)です。なので3年春の段階で、もう大学進学に方向転換しました。だから、代表でも、この選手がプロに行くなら……というのはまったくなくて、とにかくいいところは吸収してやろうという目線で見ていましたね。
――短距離の速さは先天的な能力というイメージがありますけど、鍛えれば、ある程度、速くなるものなのですか?
緒方 ある程度は伸びると思いますけど、思ったより(タイム)は縮まりませんでしたね。
1年夏、甲子園でサヨナラ逆転弾
――緒方君は1年春から7番ショートで試合に出ていますが、名門・横浜で、1年生でいきなりショートを任されるというのは、相当、ドキドキしたのではないですか。
緒方 先輩がケガしてしまって、そこに自分が入るという感じだったんですけど、チャンスはチャンスだったので。
――1年夏は甲子園にも出場して、初戦の広島新庄との試合で、9回2アウトから逆転3ランという華々しいデビューも飾っています。
緒方 甲子園のときは今までにない緊張がありましたね。試合前、何度もトイレに行ったり。足が震えたりするようなことはなかったんですけど、最初の打席はピントが定まらないというか、なんかぼやっとしちゃったというか。でも初球のストレートを打つって決めていて、振ったらセンター前にいって。けっこういい打球だったんです。まさか、あんなきれいなヒットを打てると思っていなかったので、あそこはちょっと運もありましたね。
――とにかく夏は強かったんですよね。
緒方 いつも春と秋はさっぱりなんですよ。でも、夏は上がってくるイメージがあるんです。4割、5割ぐらい打ったり。
――1年生のときに注目されると、その後、周りの期待が高まるのもあって、伸び悩むケースが多いような印象もありますが。
緒方 そこは村田監督にいつも言われていたので。大事なのは人間性だ、と。なので、ちょっと結果が出たからといって、そこに満足することなく、3年間、やり切ることができたのかなという気がします。
東恩納蒼の進路報告「お前に初めて言うんだけど…」
――他のメンバーがプロ志望届を出すというのを耳にしても、まったく心は揺らぎませんでしたか。