RIZINでの今後は？　榊原CEOが明かした思い

　この試合で所が引退するのかどうかは分からない。練習の過酷さ、減量、それに顔面への打撃攻撃が認められるスポーツだから脳のダメージのこともある。簡単に「やめないでくれ」と言えるものではない。

　RIZINの榊原信行CEOは、所についてこう語っている。

「しっかり生き様を見せてくれたと思います。まだまだ死にきれないはず。今後も闘う機会を作っていければ」

　RIZINは今後、所の選手生活の「しまい方」を見せる場所になるのか。それともまだまだトップを目指せという方向性なのか。

「トップを目指せとは言えないですけど、やっぱり闘う所英男には魅力、色気を感じます。まだまだ彼にしかない生き様を見せてほしい。実力測定とかベルトを目指すとかではない、所英男にしかできない表現を作ってもらえるんじゃないかと」

　それができるなら、本当にベストだ。繰り返すがダメージ度外視であってはいけない。現役にしがみつくようでもいけない。その前提の上で何ができるか。ヤマニハは、昔から見ていた所と対戦すること自体に価値を感じていた。他にもそういう選手はたくさんいるだろう。

最前列で試合を見守った妻子、両親のもとへ　©RIZIN FF Susumu Nagao

　意外性とひらめきに満ちた闘いぶりは唯一無二。かつての格闘技ブームも、ブームが去った厳しい時代も、所とファンは常に並走してきたイメージがある。正直に言えば、筆者だって所とは別れ難い。もうちょっとでいいから彼が闘う姿を見ていたいし、現役を終える言葉は笑顔で言ってほしい。

　どうにも冷静でいられなくなるのだ、所英男に関しては。他人事ではないと言えばいいだろうか。それくらいの時間を、我々は所と共有してきた。長く格闘技を見ている人なら、この感覚が分かってもらえると思う。