バレーボールPRESSBACK NUMBER
試合中もずっとストレッチ…男子バレー“静かな仕事人”宮浦健人(24歳)の原点とは?「俺について来い」ぶっ倒れるまでコートに立った伝説
posted2023/10/05 17:01
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Yuki Suenaga
準備は十分、整っている。
10月3日のチュニジア戦。第1セット、17対11と日本がリードする場面で、それまでアップゾーンでストレッチを行っていた宮浦健人がフィリップ・ブラン監督に呼ばれる。
試合に出ていないときも「いつ出てもベストパフォーマンスを出せるように、体を冷やさないよう意識しています」と、ストレッチやゴムチューブを使ったトレーニングを欠かさない。
その言葉通り、コートに入った宮浦は、日本の20得点目をスパイクで決め、その後、第2セット、第3セットも途中出場。もう1戦も落とせない試合で、チームの勝利に貢献した。
続く4日のトルコ戦にもピンチブロッカーとしてコートに送られる。結果は3対0のストレート勝ち。15得点を挙げて勝利に貢献した西田有志の姿を見て宮浦はこう語った。
「相手のブロックが高かったので冷静にブロックアウトをねらって確実に処理できていたと思います。西田選手はそういった打ち方の引き出しがたくさんあるので。やはり高い相手には、今日の西田選手のような攻撃で、こちらに有利な展開にしていくほうがいい。改めて自分もコートに立ったときには、そう意識してプレーしようと思いました」
すぐにプレー映像をチェックして反省
今大会、日本にとっては苦しい滑り出しだった。
初戦、日本は世界ランキング28位のフィンランドになんとかフルセットで勝利。しかし2戦目、世界ランキング19位(ランキングはいずれも9月30日現在)のエジプトにセットカウント2対0から3セット連取され、予想外の敗北を喫す。初戦、途中出場を果たした宮浦もまた、オリンピック予選という通常とは異なる緊張感に飲まれてしまったと振り返る。
「初戦はやっぱり固かったですね。自分たちが気負い過ぎた感はあります。いいプレーもあったとは思うんですけど……」
宮浦は試合後、フィンランド戦の動画を見て自分のプレーを確認した。