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「無理でしょ、って言われても…」生前のアントニオ猪木が“オカダ・カズチカに贈った言葉”とは?「猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思う」 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2023/10/05 11:01

「無理でしょ、って言われても…」生前のアントニオ猪木が“オカダ・カズチカに贈った言葉”とは?「猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思う」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

映画『アントニオ猪木をさがして』にも出演しているオカダ・カズチカ

「猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思う」

 そんなオカダが考える「猪木イズム」とは、次のようなものだ。

「僕は、猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思うんですよ。試合開始のゴングが鳴った時の緊張感というか、ピリピリした感じっていうのは、海外も含めた他の団体にはなかなかないもの。それが猪木さんから長州(力)さん、藤波(辰爾)さん、闘魂三銃士と受け継がれていったもので、それが今はもしかしたら薄れつつあるのかもしれないので、僕はそこを忘れないように、大事にしていきたいですね。

 猪木さんの昔の試合映像を見ると、どの試合もゴングが鳴った瞬間から、ファーストアクションで何かが起こるんじゃないかっていう緊張感がすごいんですよ。手四つで探っているだけで、『何かを仕掛けようとしてるんじゃないか』という。だから観客の目が釘付けになる。

 そういう猪木さんの姿勢っていうのはすごく勉強になるので、僕もファーストアクションというのは特に気にしています。ロックアップにしても手四つにしても、最初の攻防がいかに大事か。そういったことも、僕が感じた猪木イズムとして、下の世代に伝えていかなきゃいけないと思ってます」

「猪木さんを超えたいと思っています」

『Number』での対談の最後、猪木に対して「僕の気持ちの中では猪木さんを超えたいと思っています」と、ハッキリと告げたオカダ・カズチカ。いま、その思いをあらたにしている。

「猪木さんを超えるって『無理でしょ』って言われるかもしれないけど、僕はプロレスを盛り上げるしかないと思っています。まずは猪木さんがやっていたときの東京ドームを超満員にできたところまで観客動員を戻した上で、いまはインターネットの動画配信などもあるので、違ったかたちでもっとプロレスを広めていきたい。

 かつての猪木さんも海外戦略に力を入れられていて、新日本のプロレスを世界に届けようとされていましたけど、今は時代が変わり、インターネットを通じて海外にも新日本のファンがたくさんいるので、そういった形で猪木さんがやられていたことを超えていきたいですね。僕も現役の時間がそんなに長く残っているとは思っていないので、しっかりとやっていきたいと思っています。

 そして猪木さんを超えることができた暁には、『オカダ・カズチカをさがして』という映画を作ってもらいたいですね。メキシコロケとかをしっかりやってもらって。でも、僕は猪木さんみたいに波瀾万丈な人生じゃないので、オカダ・カズチカをさがしたら、すぐに見つかっちゃうかもしれないですけどね(笑)」

〈インタビュー前編では、猪木に関する“あのタブー”をオカダが破った日の感情、その裏話を公開中です〉

#3に続く
「僕はたぶん、猪木さんに対して怒っていたんですよ」 アントニオ猪木の張り手に、デビュー4年目の棚橋弘至が“睨み返した日”の真相

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