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「スクラム、きれいに割れました」PR具智元が振り返る“咆哮”の理由「長谷川慎さんは本当の恩人です」<playback2019>

2023/09/27
試合中、決して感情を表に出すタイプではないが、あのアイルランド戦では相手を完膚なきまでに押し切り、渾身のガッツポーズを見せた。日本国籍を取得した、心優しきジャパン不動の3番が充実の日々を振り返る。(初出:Number993・994号<咆哮の理由>具智元「スクラム、きれいに割れました」)

 吠えた。泣いた。そして笑った。

 すると、みんな、幸せになった。なんというのか、もう、とろけちゃった。具智元(グ・ジウォン)。秘めたつもりで、なお、隠し切れぬ闘争心。波にさらされる船を海に落ち着かせるイカリのごときスクラム。ドルにも円にもウォンにも換算できぬ最高のスマイル。縁の下の力持ちは、ワールドカップ(W杯)におけるジャパンの快挙とともに列島の人気者になり、老若男女に心の平穏を授けた。

「愛されるグーくん」から「国際的スクラメージャー」へ。このほど日本国籍取得、韓国に生まれ、中学生で海峡を渡ったホンダヒートの25歳は、さらに上昇気流をつかむだろう。三重県鈴鹿市のクラブハウスで「あのとき」と「これから」を聞いた。

――南アフリカとの準々決勝からそれなりの時間が過ぎました。いまの心境は?

「そうですね。高校2年のときから絶対の目標として頑張ってきた大会に出られて、しかも終わったあとにも応援されている感じがして。ラグビーの注目度が上がって、始まる前とは全然違う。いま、夢のような気持ちです。本当に」

――大分県佐伯市の公立中学から日本文理大学附属高校へ進み、2年生で、U17日本代表に選ばれた。そのときからW杯を意識していたわけですね。

「はい。ジャパンのジャージィを初めて着て、あれからずっと出たかった大会でいい成績を残せました」

――12月11日の東京・丸の内のパレード、どうでした?

「すごかったです。20分間歩いて、そのあいだ、ずーっと人が待っていてくれて。道だけじゃなくて、よく見たら、ビルの中や屋上にまで人がいて」

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photograph by Yoshiyuki Hata

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