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「まるで別人…ユーキに“キレ”が戻った」石川祐希の“強烈サーブ”を至近距離で見た記者が確信「ペルージャは苦境を脱出した」次戦は大塚達宣と日本人対決
posted2025/02/12 17:00

復調の兆しを見せるペルージャで存在感を示す石川祐希
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Takashi Yuge
赤いユニフォームの背中に張りがある。
ディグやレセプションで低く鋭くコートすれすれを這ったかと思えば、次の瞬間にはハイセットに高く舞い上がり、渾身の一打を放つ。石川祐希の四肢にしなやかな動きと力が戻ってきた。
彼が頻繁に使う「練習がしっかりできている」という言い回しにも力がこもる。
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現地2月9日、ペルージャはグロッタッツォリーナとの遠征試合に臨み、3-1で快勝。前節のターラント戦に続く連勝で勝ち点を48とし、リーグ首位の座を守った。
先発した石川はゲームを通して攻守に活躍したが、刮目すべきはディフェンスの動きだった。相手のサーブから狙われるのは変わらず、何本かエースも許したが、足が止まっていた1月とは明らかに体のキレがちがう。
第1セット序盤に相手のフェイントを機敏に拾い、味方のサイドアウトにつなげた。第3セット中盤には、ネット真下に落ちるワンタッチボールめがけてエンドラインから低く飛び込んだ。後方に鋭く逸れたボールにも反応し、体を反転させてしぶとくつなぐ。リベロもかくやの動きで球際にくらいついた。
「少し自由に動けるようにはなっている」
試合後、石川は勝利の充実感を全身から発散していた。惨敗したコッパイタリア準決勝後とは別人のように、紅潮した顔は晴れやかだった。
彼に守備面での変化を問うと、2月になってブロックカバーへの意識づけが戦法の指示として強化されたという。その上で、石川は興味深い言葉を加えた。
「ディグやディフェンスに関して、少し自由に動けるようにはなっている。そこらへんも、自分の動きやすさにつながっているのかなと」
コート面スレスレで“パンケーキ”を狙ったり、膝より下のボールに猛然と突っ込む石川の高い守備意識は、他のチームメイトたちとは一線を画すものだ。石川はハイレベルのオールラウンダーだからこそ、守備の自由裁量をある程度任されるようになったことで、攻撃面のキレも復活してきた。