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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
“らしくないドイツ”にサポーターが怒りの指笛…「公平に見ても日本代表の方が魅力的」カメラマンが敵地で目にした“ドイツ国民の心が折れた瞬間”
posted2023/09/15 17:01
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
危機的な状況に追い込まれていたドイツ
「せっかくドイツに来たんだから、とりあえず前半は日本を撮って、後半はドイツを撮りたいですね」
9月9日、ドイツ・ヴォルフスブルク。試合開始2時間前のメディアラウンジで、欧州を拠点に活動している日本人フォトグラファーたちと久しぶりに再会した筆者は、雑談の中でそんな話をした。
「今日勝たないと色々とまずいし、ドイツもさすがに頑張るでしょう」
ドイツはカタールW杯で2大会連続のグループリーグ敗退に終わった後、ペルーに勝利したものの、ベルギーに敗れ、ウクライナと引き分け、さらにポーランドとコロンビアに連続完封負けと不甲斐ない戦いを続けていた。
言わずもがな、W杯を4度も制しているサッカー大国であり、来年のEURO2024の自国開催での優勝を至上命題としているドイツにとって、これは危機的な状況だった。
今回の代表ウィークではドイツサッカー連盟の持ち出しで日本を招いてのリベンジマッチ、さらにドルトムントでのフランスとの親善試合という、ホームでのビッグマッチ2連発が組まれていた。だが、すでにドイツ代表の信用は失墜しており、これらはハンジ・フリック監督の進退がかかる2試合であるとされていた。
日本との試合がキックオフを迎えると、ドイツは最終ラインでボールを回しながら様子を窺った。カイ・ハバーツがセンターフォワードのポジションに配され、両翼には個での打開力に優れるセルジュ・ニャブリとレロイ・サネ。彼らをイルカイ・ギュンドアンがコントロールし、サポートする。ニクラス・フュルクルクの欠場によって純粋なストライカーを欠いていたものの、手堅く日本を追い詰めていこうとしていた。
しかし、日本はキャプテン・遠藤航の姿勢が全員に乗り移っているかのように戦い、デュエルの激しさで全面的にドイツを上回った。遠藤や板倉滉がコンタクトに負けずにボールを前に進めると、ドイツは受けに回ることになり、流動的なポジションをとる鎌田大地がのびのびとプレーすることを許した。鎌田を捕まえきれずに後手を踏むようになったドイツに対し、日本は菅原由勢と伊東純也の右サイドのシンプルな縦関係からゴールに迫り、開始わずか11分でスコアを動かした。