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“裏番組”のBreakingDownに対抗心…「本物が殴り合ったらどうなるか」RISE新王者・YA-MANが壮絶な“命の削り合い”で見せつけた矜持
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2023/09/03 17:00
「本物の殴り合い」を体現してRISEのOFGマッチの初代王者となったYA-MAN。同日に行われた“裏番組”のBreakingDownも強く意識していた
“本物の殴り合い”を見せつけた男の矜持
試合後、山口は「1ラウンドは結構来てくれた。だから(自分のパンチも)当たった。でも、2ラウンドからは向こうは頭を使って闘っていた」と悔しがった。
「何も考えずに殴りに行ったら合わされた。『お前、考えてくるなよ』と思いましたよ(笑)」
先に会見を終えた山口の言い分を伝えると、YA-MANは「いや、それが格闘技ですから。ケンカじゃないので、相手の裏をかいていくのが格闘技」と主張した。ストリートファイトとキックボクシングの“いいとこ取り”をするのが、OFGマッチの醍醐味なのかもしれない。
この路線のチャンピオンになるまでをYA-MANの第1章とするならば、続く第2章はどんな物語をイメージしているのだろうか。
「第2章はRISEをどう盛り上げていくか。RISE=YA-MANみたいになるようなストーリーにしていきたい」
昨年6月まで、このプロモーションには那須川天心という絶対的なエースが存在していた。しかし天心のボクシング転向後は激しいエース争いが続いている。そうした中、見る者に勇気や感動を与え続けているという点で、存在感ではYA-MANが一歩も二歩もリードしているといえるだろう。リングサイドではRIZINの榊原信行CEOもYA-MANに熱い視線を送っていた。会見後、控室に戻ろうとする新チャンピオンに先の「対BreakingDown」の見解について聞くと、ウィットに富む答えが返ってきた。
「BreakingDownの人(選手)も自分の試合を見たらすごいと思うでしょう。バズればいいなぁ」
YA-MANの口元からは、“本物の殴り合い”を見せたチャンピオンとしての矜持が溢れ出ていた。