熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「フットボールの世界はクズばかり」なぜジーコ兄弟は“父が猛反対”→名手になれたか…日本代表“あのW杯惨敗の真相”もエドゥーが明かす
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2023/09/03 11:02
ドイツW杯時のジーコ監督とエドゥーTA
「いや、その反対だった。『プロ・フットボールの世界には碌な奴がいない。クズばかりだ』というのが口癖で、息子たちは大学を出て堅い職業に就いてほしいと思っていた。息子たちは皆、フットボールが大好きでプロになりたいと思っていたが、それを許そうとしなかった。
ところが、父が信頼する友人が長男ゼッカの才能を見込んで、『本人も望んでいることだし、プロクラブのアカデミーのテストを受けさせてやったらどうか』と父を説得した。これが功を奏し、ゼッカは18歳のときフルミネンセ(リオの4大クラブの一つ)のU−20のテストを受けて合格。練習に通うようになった。彼が道を切り開いてくれたお陰で、我々弟たちもプロを目指せるようになった」
遊びの延長のようなことを仕事にする奴は…
――『息子たちをプロ選手にしたくない』と言いつつ、フットボール三昧の環境を準備してやる――。完全に矛盾していますね(笑)。
「そうなんだ。でも、当時はプロ選手の社会的な立場が低かった。今では考えられないくらいに収入が少なかったし、『遊びの延長のようなことを仕事にする奴は、碌な者じゃない』と一般に思われていたんだ。
◇ ◇ ◇
第3回ではフットボールの世界へと入ってからの奮闘、そして若き日にブラジルで見たカズ(三浦知良)の記憶や日本フットボールへのエールをお届けする。
<第3回に続く>