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初代表で「体に触ることすら…」バングーナガンデ佳史扶がコロンビア以上に衝撃だった瞬間は?「僕は奪いに行く側」パリ五輪代表への野心
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/08/25 11:05
バングーナガンデ佳史扶は日本代表3月シリーズ、コロンビア戦でA代表デビューを飾っている
「日本代表は本当に、すごい選手たちの集まりだなって。特に対峙した伊東純也さんにはびっくりしました。ワンツーが来るってわかっていて、横にパスを出した瞬間に体を入れて行かせないようにしたのに、グンって加速されて体に触ることすらできませんでした。さらに1歩、2歩寄せないとダメなんだなって。自分はまだまだなんだなって痛感しました」
パリ世代についても「ポジションを奪いに行く側だと」
2001年生まれの佳史扶は、24年夏のパリ五輪でメダル獲得を目指すU-22日本代表の一員でもある。昨年11月の欧州遠征のポルトガル戦では先発出場を果たした。
チームを率いる大岩剛監督は「五輪経由W杯行き」ではなく、「A代表経由五輪行き」を提唱しており、その一歩を踏んだ佳史扶には、A代表での経験を同世代の仲間たちに伝える責務もあるだろう。
「でも、僕自身、パリ世代のチームでバリバリ出ているわけではなくて、今年序盤のプレーが評価されてA代表に呼ばれただけなので。もちろん、A代表に選ばれた以上、強度などプレーで示さないといけないと思いますけど、正直、ポジションを奪いに行く側だと思っています。五輪代表に関しては、誠二のほうがコンスタントに出場している。誠二の活躍には刺激を受けますし、一緒に五輪に出て、A代表まで行きたいですね」
約2カ月半と、思いのほか長くなった今年2度目の離脱期間は、自身の体と今一度、向き合う時間にあてた。
「チームに迷惑をかけたので、より強くなって戻りたいなって。筋力増加だったり、体のうまい動かし方だったりをトレーナーに見てもらって。インナーマッスルが弱かったので、体幹トレーニングを取り入れながら、体を効果的に使えるようにトレーニングしています。やりすぎたかなっていうくらいやったんで、体がちょっと大きくなりました」
バーレーンで行われるパリ五輪アジア1次予選の開幕が9月6日に迫っているが、復帰を急いで再受傷した今年5月の失敗を繰り返すつもりはない。
まずはFC東京で、目に見える結果を残す――。
パワーアップした新世代の左サイドバックが、もうすぐピッチに戻ってくる。
<前編からつづく>