プロ野球PRESSBACK NUMBER
「29試合連続安打」の中日・岡林勇希は“双子で右投げ左利き”…MAX153kmの剛腕をヒットメーカーに導いた“二重三重の奇跡”とは
text by
渋谷真Makoto Shibutani
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/08/23 17:00
最下位に沈む中日だが若手の星は着実に進化を遂げている
「僕は小2で野球チームに入ったんですが、一緒に始めた友だちが3人とも左投げだったんですよ。そうなるとポジションが限られちゃうじゃないですか。それで『誰か右で投げられんか?』って監督に言われて……」
二重三重の奇跡が導いたプロ入り
確率10%のはずの左利きが、4人中4人。その中の1人に右投げを提案して、応じたのが岡林だったという二重、三重の奇跡。こうして右投げ左利きの逸材は、野球人生のスタートを切った。
右投げ左利きといえば、坂本勇人(巨人)もその一人。チームの先輩である大島洋平が2000安打達成が秒読みだが、岡林には早くも「ネクスト大島」の期待が懸かっている。気が早すぎるかもしれないが、ただ達成するだけではなく最年少記録の更新も望めるはずだ。榎本喜八(毎日、大毎など)の31歳7カ月が最年少で、坂本の31歳10カ月がそれに続く。ちなみにイチローは日米合算ながら30歳7カ月と別格だ。それぞれの4年目終了時点での安打数は、榎本526、坂本484、イチローが425といずれもさすがの数字。シーズン途中の岡林は313である。
岡林は2月生まれのため、14年目シーズンに達成すれば、記録更新の可能性は高い。それは2033年。まだまだ先の話だが、あるいは「21世紀生まれ初の2000安打達成者」となるかもしれない。