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元横綱稀勢の里 二所ノ関親方が徹底解説
第12回:照ノ富士「実は計算された“きめ出し”」
posted2023/08/19 09:00
text by
二所ノ関寛Hiroshi Nishonoseki
photograph by
Takayuki Ino(Illustariton)
私が幕内で照ノ富士関と初めて対戦したのは2014年の九月場所でしたが、「強引な相撲を取るな」という印象でした。
日本人とは力の出し方が違っていて、今まで体感したことのない強さでした。彼は相撲を取る前に、広背筋を意識しながら腕をぐるぐると回す動作をします。これは背中に刺激を与える運動で、その背中に腰の力が付随してくる。日本人は丹田に力を込めることで腰の強さを発揮しますが、モンゴル出身の力士には背中と腰が連動して力を生み出している印象があります。これは日馬富士関にも同じことを感じました。
私は2015年に、照ノ富士関から3敗を喫しています。左四つの形になってからセオリーとして、私は下手を引いた左側に寄っていきました。照ノ富士関の下手を殺しつつ、右上手を遠くさせるためです。ところが、照ノ富士関はお構いなしに下手投げでぶん回してきて、私は体勢を崩されてしまったのです。