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現役球児に聞いてみた“甲子園改革”へのホントの思いは…?「本当に暑さを感じるのは夜、寝るとき」「『オレ、京セラ出たんだよ』じゃ…」
posted2023/08/17 11:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Nanae Suzuki
今年の記録的な酷暑とも相まって、「甲子園改革」について多くの人がさまざまなことを発言している。
「なるほど」と思うこともいくつもあるが、肝心の球児たちはそれについて、どう考えているのか。そちらのほうについつい思いが行ってしまう。
ドーム球場にしても、開催時期をずらしても、それで本当に主役の高校球児たちは「納得」して夏の大会に臨めるのか。
何をさて置いても、まず「そこ」だろう! ということで、直球勝負で球児、元球児たちに訊いてみることにした。
全国くまなく……は無理なので、心当たりのある範囲で主に今の3年生から卒業3、4年程度までの「おっそろしく暑い夏」を体感している世代に話を聞くことにした。
◆◆◆
夏の暑さで本当に辛いのは…?
「自分の場合は甲子園には出られなかったんですが、一応、地方大会の準決勝までは行ったので、あの暑さは理解してるつもりです」
A君は今年、大学2年になる元・高校球児である。
「グラウンドに出たら、あとは無我夢中ですから、あまり暑さを感じた記憶はないんです。自分たちが“暑さ”を感じるのは、夜、寝る時なんです。昼間の暑さが体の中にこもってる感じで、試合の興奮も残っていて、なかなか寝つけない。自分は寮だったんで、みんなそんな感じで、寝苦しそうにしていました。だから朝の第1試合が辛かった。9時開始だと4時起床ぐらいですから、やっと寝られたなと思うと、すぐ起床時間なんです」
ほぼ全員が睡眠不足で、試合終盤には気分の悪くなる者、試合中なのに大あくびする者も。間違いなく、ハンデだったという。
「なので自分だったら第1試合の開始を13時頃にして欲しいですね。それなら、すぐに寝付けなくても6~7時間は寝られます。今年みたいに1日2試合なら、6時か7時終わりですから、ギリギリ照明なしでいけると思う。やっている者にすれば、夏は暑さより寝不足のほうがずっとこたえます。暑さは、もう覚悟していますから」
スッと胸に落ちた。私自身にも覚えがあった。