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井上尚弥“次の相手”マーロン・タパレスは「見えないパンチを持っている」…タパレスを撃破した男・岩佐亮佑に聞いた、井上vs.タパレス勝敗予想 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byTakuya Sugiyama(L)/AFP=JIJI PRESS(R)

posted2023/08/12 17:03

井上尚弥“次の相手”マーロン・タパレスは「見えないパンチを持っている」…タパレスを撃破した男・岩佐亮佑に聞いた、井上vs.タパレス勝敗予想<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama(L)/AFP=JIJI PRESS(R)

今年末の対戦が確実視されている井上尚弥(左)とタパレス。タパレスを破り世界王者となった岩佐亮佑が2人について語る

「こっちがプレッシャーをかけているときも、タパレスは何かを狙っている感じがしていました。嫌な空気感を持っているんですよ。すると、フェイントを入れて、予期しない角度からアッパーを突き上げてきて、これを狙っていたのかって。普通はあの位置、あの角度からなかなか打てない。見えないんですよ。ここから打ってくるんだ、と思いました」

『上手さ』ではなく『巧さ』

 岩佐陣営の作戦は後半勝負だった。想定外のパンチに面食らいつつも、クリーンヒットはもらわずに前半からポイントをしっかり手繰り寄せた。狙い通り、5ラウンド以降は岩佐のペースになる。

「当時のタパレスはスタミナがなかったので。ただ、こっちがペースをつかんでいても、なかなか勝負に行けなかった。ずっと危険な雰囲気を醸し出しているので。ディフェンスもうまいんですよ。あまりパンチを当てさせてくれなくて、ミートもさせてくれない。危機管理能力は高いと思います。『上手さ』ではなく、ボクシングの『巧さ』を感じました」

 じわりじわりと時間をかけて相手の体力と気力を削り、ようやくである。10回にタパレスの集中力が途切れていることを確認。そして、迎えた11回に覚悟を決めて、一気に攻めた。最後は相手の右ジャブに得意の左ストレートをカウンターで合わせてフィッシュ。岩佐自身、勝負どころで思い切って詰め切れないという課題を抱えており、自らの壁を乗り越えてのKO勝ちだった。スコアカード(97-92、95-94、97-92)を見ても、2階級制覇を目指した難敵にポイントをほとんど渡さず、会心の勝利と言っていい。

あの右は見えないよね

 あれから3年半。タパレスの試合をつぶさに追っていたわけではないが、要所で奮闘する姿は見ている。21年12月、IBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦で勅使河原弘晶(2022年4月に引退)を2回KOで下した一戦では、あらためて「見えないパンチ」に舌を巻いた。

「『あの右は見えないよね』と思いました。テシ(勅使河原)とはスパーリングもしましたし、仲が良くて飲みに行く間柄なんです。でも、僕はタパレスを応援していました(笑)。やっぱり、自分が戦った選手は、負けてほしくないので。同じボクサーならこの気持ちは分かってもらえると思います。テシ本人にもそれを伝えると、『そうですよね』と言っていましたから」

【次ページ】 アフマダリエフ戦で見せた、昔との違い

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