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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「フルトンよりもデカく見えた」井上尚弥のスーパーバンタム級デビュー戦を、同級の先輩王者・岩佐亮佑はどう見た?「規格が違う。一つ上のフェザー級でも…」
posted2023/08/12 17:04
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Takuya Sugiyama
WBC・WBO世界スーパーバンタム級統一王者のスティーブン・フルトン(アメリカ)も圧巻のKO勝ちで一蹴し、向かうところ敵なしの井上尚弥。バンタム級に続き、4団体統一を狙うモンスターの次なる対戦相手と目されるのが、現在WBAとIBFのベルトを持つマーロン・タパレスだ。
かつてスーパーバンタム級の世界王座を懸けて、その話題のフィリピン人ボクサーと拳を交えた元世界王者の岩佐亮佑は井上のスーパーバンタム級での戦いをどのように見たのか。そして同階級に井上を脅かす存在はいるのか。スーパーバンタムの覇を争い続けてきた男が語ったのは――。
かつてスーパーバンタム級の世界王座を懸けて、その話題のフィリピン人ボクサーと拳を交えた元世界王者の岩佐亮佑は井上のスーパーバンタム級での戦いをどのように見たのか。そして同階級に井上を脅かす存在はいるのか。スーパーバンタムの覇を争い続けてきた男が語ったのは――。
幻の「井上vs岩佐」戦
2019年12月7日、アメリカのニューヨークでマーロン・タパレスを11回TKOで沈めて、IBF世界スーパーバンタム級暫定王座に就いた岩佐は、あるビジョンを持っていた。
「(2020年1月に)2団体統一王者となったムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に勝ち、2本のベルトを持って、井上尚弥選手を待つ青写真を描いていたんです。まさに現在のタパレスの位置にいるつもりでしたが、僕がムロジョンに負けてしまったので……。すっきり引退した今は悔しさがこみ上げることもなければ、嫉妬を覚えることもないですけどね」
同階級で2度世界王座に就いたプライドは持っているが、井上尚弥の強さにはただ感服するしかない。転級した初戦。WBC・WBO統一王者であるフルトンの前に立つモンスターの体を見たとき、有明アリーナの客席でまず驚かされた。
スーパーバンタム級の井上を見た岩佐は…
「実際、リングで見ると、フルトンよりもデカく見えました。元々の筋肉が大きいんだと思います。計量時は1回、水を抜いて絞った状態なので小さくなりますが、リカバーした後は元の大きさになりますから。正直、身長差はほとんど感じなかったですね」
開始のゴングが鳴ると、井上がリングで放つオーラをすぐに感じ取った。ぐいぐいとプレッシャーをかけ、フルトンを飲み込んでいく。レベルの差は歴然だった。