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井上尚弥19歳のスパーで感じた「殺気」…“最も苦しめた男”や“連続KO記録”日本人世界王者が語る“モンスターの異様な存在感”
posted2023/08/06 17:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
<名言1>
「俺は俺で頑張ります」なんて言ったら終わりでしょ。
(田中恒成/Number990号 2019年11月14日発売)
◇解説◇
井上尚弥がプロボクサーになって以降、公式戦で戦った日本人ボクサーは佐野友樹、田口良一、河野公平の3人だけである。ただアマチュア時代に拳を交えたボクサーの中に、田中亮明という人物がいる。
「尚弥さんを超えたい」
弟は後に世界王者となる田中恒成で、亮明自身も2021年に開催された東京オリンピック、ボクシング男子フライ級で銅メダルを獲得した実力者である。そんな彼は、アマチュア時代、同い年の井上尚弥と4度拳を交え、全て敗れた。「井上と別の階級にすれば優勝できるんじゃないか」という声もあったそうだが、強い選手から逃げるという選択肢は許せなかったそうだ。
なお弟・田中恒成の視点に立つと……井上尚弥は、自分が到底かなわなかった兄・亮明に勝ったボクサーである。井上の弟・拓真とは高校時代からライバルとして競ってきたが、一番刺激を受けてきた選手は尚弥だったそうだ。
田中恒成は2019年、冒頭の言葉を口にし、階級は違えど「尚弥さんを超えたい」とも決意を口にしていた。圧倒的な強さを認めつつも、自分もプロボクサーとして極みを目指す。田中兄弟の足跡からは、そんな矜持が感じられる。
比嘉相手の公開スパーで「違いは見せられたと思います」
<名言2>
尚弥さんはたぶん手の内をそこまで今回は見せてないと思うんで。
(比嘉大吾/NumberWeb 2021年2月12日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/846989
◇解説◇
新型コロナウイルス禍の中にあった2021年、ボクシング界では「LEGEND」というチャリティーイベントが開催された。現役・かつての世界王者やアマチュアの東京五輪代表がエキシビションマッチを繰り広げるという豪華なものだったが、メインイベントは当時バンタム級2団体王者の井上と、15連続KO勝利の日本タイ記録を樹立した元WBCフライ級王者・比嘉という豪華なマッチアップとなった。