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「太ももは競輪選手並」“マッチョマン”吉田正尚、敦賀気比高の恩師が明かす仰天エピソード「場外の車を破壊」「打球速すぎて野手骨折」
posted2023/08/09 17:00
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
JIJI PRESS
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「チラ見の吉田、と呼んでいたんです」
そう明かすのは敦賀気比の東哲平監督だ。今年3月のWBCで世界一に導いた吉田正尚が高校球児だった頃、コーチとして指導した指揮官は、冗談交じりに言う。
「アイツ、オンとオフがめっちゃはっきりしています。たとえば、ティー打撃1000球でも僕が投げる時だけ、真剣に打つ。チラチラ、僕の顔を見ているんです」
準決勝のメキシコ戦で同点3ランを放った救世主がみせた、若かりし頃の愛嬌ある素顔だ。だが、ティー打撃でトスを上げると、東は吉田のすごみを思い知らされる。
「投げていて初めて怖いと思いました。スイングの迫力とか、打球が当たったらケガするんじゃないかって」
打球が速すぎて捕り損ねた野手を骨折させた。
170cm、67kg。
高校1年のころのサイズである。東は中学生だった吉田との初対面を振り返る。
「あの小さい体で、なんであんなにボールが飛ぶんやろ。衝撃を受けましたね」
練習で軽々と柵越えを連発する姿に驚かされたが、肝心なことを見逃さなかった。
「ほかの子がしゃべっている間でもティー打撃をしたり、タイミングをとったりしていました。意識が高いなと感じました」
東が一目ぼれした1年生は6月から4番に座り、夏の福井大会も打率6割を超えた。甲子園は4番デビュー。2年時もセンバツの天理戦で3安打を放つなど、活躍した。
「背筋が強いから、球を押し込んだ後のフォローがめちゃくちゃでかかった。下半身も強くて太ももは競輪選手くらい。デカいヤツに負けたくないのもあったと思います」
打球を飛ばしすぎて場外の車を壊し、打球が速すぎて捕り損ねた野手を骨折させた。高校野球の枠に収まらない規格外の才能に溢れていたが、皮肉にも、相手に怖がられて、まともに勝負してもらえなくなった。厳しいところばかり攻められ、打撃の状態は下降していった。
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