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「井上尚弥が圧倒的に優位」の声にタパレス陣営の“本音”は? 敏腕プロモーターが胸中を激白「少なくともフルトンよりもいい戦いをする」
posted2023/08/01 11:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
スーパーバンタム級での初戦で戦慄的な強さを見せたWBC、WBO同級王者・井上尚弥(大橋)は、年内にも4団体統一戦に向かうことが確実視されている。
次の標的はWBAスーパー、IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)。4月に前王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を番狂わせの判定で下し、2階級制覇を達成したサウスポーだ。井上対フルトン戦後、リングに上がったタパレスはすでに井上と対面も果たしており、4冠戦の成立は既定路線だろう。
予想は圧倒的に井上優位と目されそうだが、タパレスとその陣営はどこに活路を見出そうとしているのか。タパレスを傘下に収めるMPプロモーションズ(マニー・パッキャオが設立した会社)のショーン・ギボンズ・プロモーターにその答えを求めてみた。
「マニーより注意深いが、2人もパワフル」
(以下、ギボンズ氏の語り)
他の多くの関係者同様、私もまた井上対フルトン戦があそこまでワンサイドの戦いになったことには驚かされました。スーパーバンタム級に上げても、井上のスピード、パワーはスーパーフライ級、バンタム級時代と変わりませんでしたね。ハイレベルのスピードとパワーの融合が大きな効果をもたらしています。まさにマニー・パッキャオ(フィリピン)のように、上の階級でもパンチ力を維持したことは特筆すべきことです。
爆発的な攻撃力、電光石火のスピードなど、マニーと井上の間には共通点があるように思えます。マニーの全盛期はフットワークが際立ち、その脚力ゆえに相手に見えない位置からパンチを打つことが可能になっていました。一方、井上はマニーよりは注意深い戦い方をしますが、パンチは2人とも同じようにパワフルです。