ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥が圧倒的に優位」の声にタパレス陣営の“本音”は? 敏腕プロモーターが胸中を激白「少なくともフルトンよりもいい戦いをする」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2023/08/01 11:04
リング上で対戦を誓い合った井上尚弥とタパレス。年内の実現に向けて動き出している
マーロンはこれまで世界中の様々な国で戦い、日本でも複数の勝利を挙げた経験があります。2016年にはタイでの世界戦に勝ってWBO世界バンタム級王者になりました。ボクシングに詳しい人なら、タイで世界タイトルを取ることがどれだけ難しいかはわかるはず。2017年には日本での防衛戦での計量失敗で王座を失いましたが、世界レベルの力を持ったボクサーであることは間違いありません。
2019年12月、マーロンはIBF世界スーパーバンタム級暫定王者決定戦で岩佐亮佑(セレス)にTKO負けを喫しました。その当時、マーロンはまだ私たちのプロモーションと適切な形で関わっておらず、トレーナーも違いました。岩佐戦では1度目の計量ではオーバーし、2度目でようやくクリア。試合が始まっても、3ラウンドにバッティングで倒れたのに、レフェリーにダウンを宣告されるという不運もありました。あの敗戦は様々なことが悪い方向にいった結果だったのです。
「ピザやキャンディを食べていたが…」
その後、マーロンはフィリピン、アメリカで連勝を続け、手応えを取り戻しています。パッキャオ傘下の元選手だったアネル・フォンテニーヤを新トレーナーに雇い、その指導を受けるようになりました。また、私たちが住居、食事をサポートし、ストレングス&コンディショニングコーチをつけ、万全の体制を整えました。
以前のマーロンはロサンゼルスで練習する際も、ジムへの往復に合計1時間もの時間をかけ、適切な形で減量もできていませんでした。計量の後、ピザやキャンディを食べていたくらいですが、今では私たちのサポートシステムがあります。そのおかげで、マーロンはワールドクラスのファイティングマシーンに変貌したのです。