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「井上尚弥が圧倒的に優位」の声にタパレス陣営の“本音”は? 敏腕プロモーターが胸中を激白「少なくともフルトンよりもいい戦いをする」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2023/08/01 11:04
リング上で対戦を誓い合った井上尚弥とタパレス。年内の実現に向けて動き出している
フィリピン人ボクサーは外国での戦いに慣れており、マーロンもどんな環境でも萎縮することはありません。フィジカル面でも強く、パンチングパワーはフルトンよりも上。フルトンは自分に自信を持っていませんでしたが、マーロンは井上が相手でも勝てると思ってリングに立つはずです。
具体的な井上対策に触れておくと、先ほども話した通り、開始早々から強烈なジャブを有効に使っていかなければならないでしょう。最初の数ラウンド、出すパンチはジャブだけでもいいと思うくらい。必要なのは、テレンス・クロフォード(アメリカ)がエロール・スペンス Jr.(アメリカ)戦でみせたパワージャブです。そのパンチで井上を警戒させ、フック、アッパーを織り交ぜていくのが大まかな戦略になると予測します。
もちろん井上はとてつもないボクサーであり、私も最大限の敬意を払っています。常に一発のパンチで試合を終わらせることができる選手ですから、一筋縄ではいきません。井上はここでマーロンにも勝つことができたら、フェザー級に上げてもまた王者になれると私は思っています。5階級制覇となったら本当にすごいことだし、パッキャオを彷彿とさせるような歴史的快進撃といっていいでしょう。
ただ、その前にマーロンが立ちはだかります。言っておきたいのは、勝つにせよ、負けるにせよ、引き分けにせよ、同じフィリピン人のドネアと同じように、マーロンは井上からリスペクトされるだけの戦い方をするということ。前に出て、懸命にジャブを放ち、井上に勝つために日本に来たことを知らしめてくれるはず。少なくとも、マーロンはフルトンよりもいい戦いをしてくれることだけはここで約束しますよ(笑)。
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