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「井上尚弥が圧倒的に優位」の声にタパレス陣営の“本音”は? 敏腕プロモーターが胸中を激白「少なくともフルトンよりもいい戦いをする」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2023/08/01 11:04
リング上で対戦を誓い合った井上尚弥とタパレス。年内の実現に向けて動き出している
爆発的な力を秘めたパウンド・フォー・パウンド最高級のボクサーである井上に対抗しようと思えば、まず彼からリスペクトを勝ち取らなければなりません。そのためには、地にしっかりと足をつけて、強力なジャブを放つことが必須。ただ、フルトンと陣営が何を考えていたのか、どんなゲームプランを用意していたのか、私には見えませんでした。
井上がすごい選手であることに疑いはありませんが、欠点はあります。ノニト・ドネア(フィリピン)との第1戦で示されたように被弾はするのです。しかし、あの日のフルトンのように開始ゴングと同時に脚を使ったらそこで終わりですよ。フルトンのトレーナーは井上とリング上でどう戦うかよりも、井上の巻くバンデージの心配ばかりをしているように思えたほど。あれでは井上に勝てるはずもありません。マーロンは同じような戦い方はしないという自信が私たちにはあります。
「おそらく12月上旬の開催になるでしょう」
今後、私は井上とマーロンの4団体統一戦の実現に向けて動くことになります。このビッグファイトは無事に成立すると信じています。フルトン戦後、マーロンがリングに上がった際、日本のファンからも大歓声が上がりました。ファンからの支持は得られるはずですし、両選手にとっても理に敵う統一戦です。
井上はバンタム級の4団体を統一するのに4年以上が必要でしたが、スーパーバンタム級では1年弱でそれが可能になるのです。アフマダリエフという強敵に勝って2冠王者になったマーロンにとっても、井上のようなスターとの対戦は望むところです。
これから大橋秀行会長、交渉窓口になっているミスター本田(本田明彦・帝拳ジム会長)と話し、今後数週間の間に詰めていくことになります。時期的には12月の第1〜2週目の開催になるでしょう。昨年、井上は12月13日にポール・バトラー(英国)と戦っており、似たような日程になると推測しています。
条件的には公平なものであることを望んでいますが、その点については心配していません。まだ契約書にサインはしていませんが、ミスター本田と握手は交わしました。ボブ・アラム、ドン・キングとの交渉であれば、契約書の段階になっても油断はできませんが、ミスター本田、大橋のことを私は常に信頼しています(笑)。