酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

スランプ脱出・村上宗隆23歳が7月7本塁打、三振減!“WBCで見た大谷翔平らの衝撃”を経て…ヤクルトは「セ台風の目」になるか 

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2023/08/01 11:05

スランプ脱出・村上宗隆23歳が7月7本塁打、三振減!“WBCで見た大谷翔平らの衝撃”を経て…ヤクルトは「セ台風の目」になるか<Number Web> photograph by JIJI PRESS

神宮の夜空にアーチを描く村上宗隆。本来の豪打が戻ってきた

 チームは得点が昨年より86点も少ない。またチーム本塁打も34本少ない。そして村上宗隆の打点も、昨年よりも41少なく、本塁打も18本少ない。

 もちろん、不振の原因は他にもある。

 今季のヤクルトは長打力も兼ね備えた切り込み隊長である塩見泰隆が、下半身のコンディショニング不良で開幕から出遅れた。5月4日に初出場したものの5月26日に再び抹消。今季まだ20試合しか出ていないことも大きい。

 また信頼感の厚かったクローザーのスコット・マクガフがアメリカに帰ってしまったのも痛かった。田口麗斗が奮闘しているが「勝利の方程式」が大きく狂ってしまったのだ。

村上がテレビで語っていた「WBCでの経験」

 しかしながら、昨年快走したヤクルトのチーム状態を激変させた主要因が、村上宗隆の不振にあることは間違いないところだ。

 村上の開幕直後の大不振によって、チームは勢いに乗れなかった。村上の今年の大スランプの原因が「春先のWBC」にあったことは、先日、本人がテレビカメラの前で話している。

〈WBCで大谷翔平さんや吉田正尚さん、ダルビッシュさんなど、色々な方のトレーニングを見て、僕はこうやった方が良いのかな、もうちょっとこうした方が良いのかなって。その中で色々なところに手を出していくうちに、何が正解か分からなくなってしまった〉

WBC同行スタッフが見た村上の葛藤とは

 このコラムで、トラックマン野球部門責任者の星川太輔さんの目から見たWBCについて紹介した(https://number.bunshun.jp/articles/-/857834)が、その記事では、村上はバンテリンドームで行われた中日との壮行試合での、大谷翔平の打撃練習のすさまじさに大きな衝撃を受けたと語っていた。

〈中日の選手も横で見ていて“すげー”みたいに言っていたけど、一緒に戦うチームメイトは、ちょっと声をかけられない感じでした。僕は村上宗隆選手の表情を気にして見ていたんですが、後ろで見ていた村上選手は凄いショックを受けていたように感じました。山田哲人選手の表情からも笑顔は見られなかったです。

 しばらくして村上選手が「(大谷選手の打球速度は)何キロですか?」と聞いてきた。彼は宮崎キャンプで計測した自分の数値を知っているのでその数字の差にもショックを受けたのだと思います〉

 わずか22歳のシーズンに史上最年少の三冠王になった村上宗隆は「次は世界に雄飛する」と大きな目標を抱いたはずだ。

【次ページ】 調子のバロメーター「三振数」が減ってきた

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#村上宗隆
#東京ヤクルトスワローズ
#大谷翔平
#吉田正尚
#ロサンゼルス・エンゼルス
#ボストン・レッドソックス

プロ野球の前後の記事

ページトップ