レフェリーとスーパーバイザーはもちろん、相手ペアの主張をそのまま受け入れて判断を下したわけではない。実際、失格を主張する相手ペアの言葉をさえぎっている様子もある。だが、時系列的には相手ペアのアピールから事態が動いたわけで、「ご注進」を受け入れた裁定のようにも見えてしまう。だから、失格の裁定を批判する立場、すなわち加藤を擁護する立場の人の多くは、この点を問題視している。

動揺するボールガール、声高に主張する相手ペア

　ともあれ、相手ペアが加藤の失格を主張したのは残念でならない。実際、ボールが当たる瞬間は作戦の打ち合わせ中だったのか両者で会話しており、加藤の動作も、ボールの行方やボールガールの様子も見ていない。主審にボールガールの状態の確認を要請するのはいいとしても、動揺するその姿を根拠に、みずからの主張を通そうとしたのはいただけない。その強硬なアピールが、結果的にボールガールをも追い詰める形になったのではないか。

　また、対戦相手の処分にかんして彼女たちが口を挟むべきではない。相手への敬意、フェアに試合をまっとうして優劣を競うという精神から遠い行為であり、非難されるべきだろう。

大坂なおみの元コーチも、リプライで加藤を擁護

　加藤は失格となったその日にツイッターを更新、こう記した。

「今日の不幸な事故について、ボールガール、パートナーのアルディラとチーム、そして私を応援してくれる皆さんに心からお詫び申し上げます。まったく意図的な行為ではありません。結果として、全仏から賞金とポイントを没収されるペナルティを受けることになりました。これからも応援をお願いします」

　SNSでは加藤を擁護する声が優勢だ。加藤のツイートには、地元フランスのアリゼ・コルネら多くの選手、関係者が返信し、加藤を励ました。英国の女子選手ヘザー・ワトソンは「あやまる必要はないよ。アクシデントであることは明らかで、故意や怒りに任せての行為ではないのだから。ただそれだけのこと。あなたがこんな厳しい罰則を受けるようなことじゃない。ハグを送るよ！」と返信した。

　大坂なおみの元コーチ、サーシャ・バインも返信で「謝罪の必要はない。ITF（国際テニス連盟）に訴える必要がある。たとえ訴えが認められたとしても、それはあなたが望んだ事態ではないよね。あなたはコートに立つために懸命に練習してきたのに、その機会を奪われたことが残念だ。それでも、前向きに。そして、頑張って」と書いた。

対戦相手の釈明と総スカン

　一方、SNSで非難された対戦相手のソリベストルモはこう釈明している。

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